働き方改革の施策内容12選|働き方改革が推進される理由3選を紹介
働き方改革とは
日本は少子高齢化によって生産年齢人口が減少傾向にあります。しかし高齢化による社会保障費の増加もあることから、国の財政を健全に保つためにどうにかして労働力人口を増やす必要があるでしょう。
働き方改革とは働く人のニーズに合った労働環境を法的に整備することで、できる限り多くの人たちに就業機会を提供するための改革です。大企業に対しては2019年4月から、中小企業に対しては2020年の4月から導入されました。
働き方改革の目的
働き方改革は、個人の希望にできるだけ合った労働環境を整えて、働き方の多様性を実現させることが目的です。
就業可能な年齢や健康状態にあっても、小さい子供がいるなどの理由で就業を断念している人もいるでしょう。そのような人でも短時間労働などの条件次第では就業できることがあります。
個人のワークライフバランスを向上させつつ就業人口を増やすため、これまでの働き方を改革する必要があるのです。
働き方改革の施策内容12選
働き方改革の内容は具体的にどのようなものでしょうか。「働き方改革」という用語は聞いたことがあっても、その詳しい内容はよく知らないという方もいるでしょう。
ここからは、働き方改革の施策内容を12個紹介していきます。働き方改革では、時間外労働の上限規制や有給休暇取得の義務などの施策があります。以下で各施策内容を詳しく見ていきましょう。
働き方改革の施策内容1:時間外労働の上限規制
働き方改革で、時間外労働の上限が罰則付きで法的に規定されました。具体的には月45時間、年360時間が時間外労働の上限となります。
業務上特別な理由がある場合は労使合意の上でこの上限を超えられますが、それでも年720時間までと絶対に超えられない上限を設定したことがポイントです。
どの業種でも際限のない時間外労働が不可能になった点が、今回の改革による改善点の1つでしょう。
働き方改革の施策内容2:有給休暇取得の義務
労働基準法の改正によって、雇用主は年次有給休暇が10日以上付与されている全労働者に、毎年5日は必ず有給休暇を取得させることとなりました。
これまでは遠慮して有給休暇を堂々と取得できない場合もあったでしょうが、この法改正によって最低年5日は有給休暇の取得が保証されます。
有給休暇は法で認められた労働者の権利ですが、職場の都合も加味しつつ取得していくと良いでしょう。
働き方改革の施策内容3:インターバルを確保することの義務
働き方改革によって、インターバルを確保することが義務化されました。インターバルとは業務終了から次の業務開始までの休息時間のことで、これを確保することを明文化したのがインターバル制度です。
休息時間を十分確保することで労働者の健康を守るとともに、労働者の生産性を高めることも期待できるでしょう。
インターバル制度は働き方改革の施策ですが、努力義務なので企業によって導入に差が出ることが予想されます。
働き方改革の施策内容4:時間外労働割増賃金率の引き上げ
働き方改革で、時間外労働割増賃金率が引き上げられました。法定時間外労働が1カ月で60時間を超える場合は、雇用主は50%以上の率で算出した割増賃金の支払いが必要となります。
時間外労働に対する割増賃金を支払う代わりに休暇を取得することも選択できますが、これには労使間での合意が必要となるので注意しましょう。
働き方改革の施策内容5:フレックスタイム制
フレックスタイム制とは、労働者が自分で就業の開始・終了時間、及び労働時間を調整できる制度です。働き方改革によって、フレックスタイム制で労働者が労働時間を調整できる期間が1カ月から3カ月に拡大されました。
1カ月単位で労働時間を調整していた時に生じていた時間外労働が、3カ月調整に拡大されたことで割増賃金を支払わずに済む場合があるため、今回の改正は企業にとってもメリットがあると言えるでしょう。
働き方改革の施策内容6:同一労働・同一賃金の適用
働き方改革によって同一労働・同一賃金が提唱されました。これによって、正規と非正規社員間の待遇に理不尽な差が生じるのを抑制する効果が期待されています。
正規と非正規社員の間で賃金や業務内容が平等になるように、雇用主側は業務改善に向けたあらゆる努力をすることが求められるでしょう。同じ仕事につく労働者間での格差がなくなることで、労働者の働く意欲が増すことも期待できます。
働き方改革の施策内容7:高齢者の就労
高齢者の就業を応援するのも働き方改革の施策です。心身とも健康で就労意欲の高い高齢者の就労機会を促進するため、継続雇用の延長や定年延長の支援の充実を雇用主側に求めています。
雇用主側に期待される努力としては、定年の廃止や関連企業への再就職支援なども挙げられるでしょう。少子高齢化が進む中で、勤労意欲のある高齢者が働ける環境を早急に整備することが必要です。
働き方改革の施策内容8:ダイバーシティ化
働き方改革ではダイバーシティ化を推進しています。ダイバーシティとは多様性のことで、女性・障がい者・高齢者など様々な人材が活躍できる社会の構築を目指す改革です。
少子高齢化が進む日本において、人材の確保は重大な課題でしょう。ダイバーシティ化の推進で、現在の制度下では働きにくいと感じている人に対し、就業のための門戸を開くことが期待されます。
働き方改革の施策内容9:賃金引き上げによる労働生産の向上
最低賃金の引き上げも働き方改革が掲げる施策の1つです。具体的には賃金引き上げ率を年率3%、全国加重平均を1000円とすることが目標です。
最低賃金の引き上げが労働者の勤労意欲を促進し、労働生産性の向上が見込まれます。同時に消費意欲が増加し、経済の流動性が高まることも期待できるでしょう。
労働生産性や経済の流動性の向上によって、結果的に日本経済を強化させることに役立ちます。
働き方改革の施策内容10:高度プロフェッショナル制度の新設
高度プロフェッショナル制度新設は、働き方改革の施策に含まれます。
この制度は、労働の時間と成果に直接的関係がないと見なせる高い専門知識を要する職種につく人に対し、労働時間や休日など労働基準法で定められている規定を適用しないとする制度です。
対象となる職種はコンサルタントやアナリスト業務などがあり、平均給与額の3倍を相当程度上回る年収を得られる人に限られます。
働き方改革の施策内容11:労働環境
労働力の確保と維持のために柔軟な働き方ができる労働環境を整えることは、働き方改革の核心と言えるでしょう。
労働環境には、職場の温度・照明・ワーキングスペースといった物理的環境、通勤時間や労働時間などの労働条件に関するものから人間関係まで含まれます。
労働環境の改善は物理的環境の整備に加え、労働者のニーズに合わせた時短勤務やフレックスタイム制の導入、テレワークの推進に至るまで幅広い対応が必要です。
働き方改革の施策内容12:正規雇用以外の処遇改善
現在正規と非正規雇用の間には、給与面・手当・福利厚生・教育の機会などで待遇に格差が存在しています。働き方改革では、この格差を埋めて非正規雇用者の処遇を改善することも目指しているのです。
処遇差を改善するために同一労働・同一賃金の実現や、非正規社員を正規社員に登用すると言った雇用主側の努力が求められるでしょう。
働き方改革が推進される理由3選
働き方改革の推進は、現在の日本社会が抱えている問題と関連があるでしょう。労働者不足、出生率の低下、労働生産性の低さが問題の代表例として挙げられます。
ここからは、これらの問題についてさらに詳しく見ていきましょう。働き方改革が推進される理由を掘り下げることで、日本が抱えている問題にクローズアップしていきます。
働き方改革が推進される理由1:労働者不足
働き方改革が推進される理由の1つ目は労働者不足です。
生産年齢人口の減少に加えて、残業や連続勤務の常態化によって十分に休めない労働状況であることも労働者不足に拍車をかけている原因でしょう。
日本語の「過労死」がそのまま英語で「karoshi」として認定されているほど、日本の労働状況は世界的に稀であると言えます。労働者が働き続けられるシステム整備が急務と言えるでしょう。
働き方改革が推進される理由2:出生率の低下
働き方改革が推進される理由2つ目は、出生率の低下と関係があります。
出生率の低下は、現在問題となっている少子高齢化の直接的な要因と考える人もいることでしょう。しかし働きながら育児することが難しい労働環境が、出生率の低下に影響しているとも言えるのです。
子育てと仕事の両立が困難な社会では、妊娠・出産によって女性が退職を余儀なくされます。ワークライフバランスを保てる労働環境の整備が求められるでしょう。
働き方改革が推進される理由3:労働生産性の低さ
働き方改革が推進される理由3つ目は、労働生産性の低さと関係します。
労働生産性とは労働者1人当たりの生み出す仕事上の成果を指しますが、日本はこの労働生産性において常に国際社会で低順位に甘んじているのです。
労働生産性の向上には、職場のシステムの無駄をなくして効率化を進めると良いでしょう。働き方改革による労働環境改善で、システムの効率化が進むことが期待されます。
働き方改革の施策について理解しよう
働き方改革は少子高齢化が進み労働力人口の減少が懸念される日本において、労働者の多様なニーズに合った労働環境を整えることで潜在的に労働力となる人の就業のチャンスを拡大させ、離職率を下げる効果が期待できます。
働き方改革は労働者だけではなく、雇用主側にもメリットのある改革と言えるでしょう。働き方改革についてよく理解し、労使が互恵関係を築けるような労働環境の構築を目指しましょう。
この記事の監修者・著者
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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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