フレックスタイム制導入のメリット6選|導入する際の注意点とは?
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、労働者が日々の始業・終業時刻を自主的に決定し働くことができる制度です。
1日当たりの労働時間を固定せず、あらかじめ一定期間の総労働時間だけを定めておき、その範囲内で生活と仕事の調和を図りながら効率的に働くことが可能になります。
子育てや介護などをしながら働く労働者が増えているなど、多様化する生活環境に適応した制度と言えるでしょう。
この記事では、私たちの働き方が大きく変わるフレックスタイム制についてわかりやすく紹介します。
まずは、フレックスタイム制の軸となる「フレキシブルタイム」と「コアタイム」について解説します。
フレキシブルタイム
フレキシブルタイムとは、労働者が自分の労働時間を自由に決めることができる時間帯のことを言います。
労働者は、あらかじめ定められたフレキシブルタイムの範囲内で始業時間や終業時間を自由に選択することができます。
コアタイム
一方、コアタイムは、社員が必ず労働していなければいけない時間帯のことを指します。
1日の業務時間の中に設定されるものですが、コアタイムは必ずなければいけないものではありません。
そのため、全労働時間を、完全に社員の裁量に任せるフレキシブルタイムに設定し、コアタイムを設けない企業もあります。
コアタイムの時間帯に働けなければ、遅刻や早退の扱いになってしまいます。
フレックスタイム制導入のメリット6選
フレックスタイム制とはどのようなものか、ご理解いただけたと思います。
では、フレックスタイム制を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
フレックスタイム制導入のメリットを6つ紹介したいと思います。
フレックスタイム制導入のメリット1:私生活との両立が可能
習い事や自己啓発、本人や家族のライフイベントに合わせて労働時間を調整することができ、プライベートと仕事をうまく両立できるようになります。
また、遅くまで残業した翌日は少し出勤時間を遅らせるなどの対応もできるため、体調の管理もしやすくなるでしょう。
フレックスタイム制は、ワークライフバランスを向上させるためにとても重要な役割を担っています。
ワークライフバランスを向上させることで、心身ともに余裕が生まれるため、仕事に対する意欲や働きがいの向上にも繋がることでしょう。
フレックスタイム制導入のメリット2:仕事の効率化
自己裁量で労働時間を調整できるので、社員ひとりひとりが効率の良い時間の使い方を意識するようになります。
各個人の仕事への取り組み姿勢が変わることで、業務効率化、生産性が向上することも期待できます。
フレックスタイム制導入のメリット3:離職者の軽減
制度の導入により働きやすい環境を整えることができるため、育児や介護などで離職せざるを得なかった社員も労働時間の調整をしながら働き続けられるようになり、離職者の軽減に繋がると考えられます。
例えば、保育園のお迎え時間に間に合うように朝早く出社することや、病院への送迎がある日だけ1日の勤務時間を短くすることも可能になります。
このように、労働時間の調整により、働き続けることが可能になる人も多くいるのです。
フレックスタイム制導入のメリット4:求人が集まる
時間に融通が利くフレックスタイム制は人気があり、求人のアピールポイントになります。
柔軟な働き方が可能になることで、フルタイム勤務を諦めざるを得なかった優秀な人材を確保することも可能になると言えます。
フレックスタイム制導入のメリット5:残業時間・労働負担の削減
「仕事が忙しくない日は定時まで時間を持て余してしまう」「夕方に業務が集中するので、必ず残業になってしまう」などといったこともあると思います。
フレックスタイム制は、その日の仕事量や時間帯に合わせて1日の労働時間を調整できるというメリットがあります。
例えば「忙しくない日には早く帰り、その分の時間を忙しい日に充てる」、「1日の業務時間を全体的に遅くずらす」などを選択することが可能になるのです。
そうすることで残業時間や労働負担の削減に繋がると考えられます。
フレックスタイム制導入のメリット6:ストレスがなくなる
毎朝の満員電車や電車遅延、道路の渋滞などで、心身ともに疲弊してしまいます。
通勤ラッシュ時間を避けて出勤できるようになることで日々感じているストレスや疲労を軽減することができ、ひいては生産性の向上に繋がるでしょう。
フレックスタイム制導入のデメリット4選
フレックスタイム制は、働く者にとってはメリットだらけの制度のようにみえます。
しかしながら、フレックスタイム制の導入には、自由度が高いがゆえのデメリットもあるようです。
ここでは、考えられるデメリットを4つ紹介します。
フレックスタイム制導入のデメリット1:勤務時間の管理が複雑
フレックスタイム制を導入すると、社員ひとりひとりの始業・終業時間が一定ではなくなります。
そのため、社員の実労働時間の確認や残業代の計算など、勤怠管理がこれまで以上に複雑になります。
労働時間管理を正しく行うため、余分な経費が発生する可能性も出てきます。
フレックスタイム制導入のデメリット2:自己管理が必要
フレックスタイム制の時間管理は、社員の裁量に委ねられる部分が大きくなります。
自己管理能力の低い社員は、時間に対するルーズさがさらに目立ってしまうことが懸念されます。
フレックスタイム制導入のデメリット3:コミュニケーションが減る
フレックスタイム制を導入すると個人の出社時間帯が異なるため、聞きたいことがある時、ミーティングをしたい時、いつでも社員が揃っているわけではありません。
そのため、社員同士のコミュニケーションが不足することで、業務に支障が出る場合や連携が希薄になってしまう可能性があります。
フレックスタイム制導入のデメリット4:取引先・外部との連携が取りづらい
全ての企業がフレックスタイム制を導入しているわけではありません。
そのため、「電話したのに担当者が不在」、「連絡が取れない」、「返答が遅い」など、取引先担当者と労働時間が合わないことで業務に支障が出てしまったり、取引先からの信頼を損なってしまったりするおそれもあります。
従業員が少ない中小企業では、フレックスタイム制を導入してしまうと、外部からの問い合わせに対応できる人がいなくなるなどの問題から、制度の導入に踏み切れない企業もあるようです。
大企業だけにとどまらず、多くの企業がフレックスタイム制を導入できるようにするには、さらなる改善が必要になるでしょう。
また、営業職や、外部との連絡が多い職種によっては、フレックスタイム制の導入について
慎重に検討する必要があります。
フレックスタイム制導入の注意点3選
このように、フレックスタイム制には、メリットとデメリットあるようです。
では、導入する際にはどのような点に気をつければよいのでしょうか。
注意すべき3点を挙げますので見ていきましょう。
フレックスタイム制導入の注意点1:残業代は発生する
フレックスタイム制でも残業代は発生します。
時間外労働になるのは、あらかじめ定めた清算期間中の総労働時間を超えた場合です。
例えば、「清算期間を1か月、総労働時間を160時間」と定めた場合、社員が清算期間中に175時間働いたら、15時間分が時間外労働になります。
時間外労働かどうかの判断は、1日ではなく清算期間で行われます。
残業代を正しく計算するためには、社員の労働時間を正確に把握することが必要になります。
フレックスタイム制導入の注意点2:労働時間を繰越できる
2019年4月に、労働基準法の改正によりフレックスタイム制に関する法改正が行われ、労働時間を繰越できるようになりました。
改正により、清算期間は上限1カ月から上限3カ月に延長となり、月を跨いだ労働時間の調整が可能になったことで、より柔軟な働き方ができるようになりました。
例えば、繁忙月の労働時間を多くする代わりにその前後の月の労働時間を減らしたり、8月は子供の夏休みに合わせて業務時間を減らす代わりに分6月と7月の業務時間を増やす、などです。
ただし、清算期間が3カ月に延長になったことで、時間外労働の計算方法がより複雑となるため注意が必要です。
フレックスタイム制導入の注意点3:総労働時間の計算
総労働時間は、社内で定めることができますが、上限を法定労働時間以内に設定しなければいけません。
月の法定労働時間は、その月の日数で変わるため、以下の計算式で算出します。
清算期間における 法定労働時間の総枠 =1週間の法定労働時間(40時間)×(清算期間の暦日数/7日)
この計算方法で仮に清算期間を1カ月とした場合、法定労働時間の総数は以下のとおりとなります。
1カ月の所定労働時間はこれを超えないようになければなりません。
28日 160.0時間
29日 165.7時間
30日 171.4時間
31日 177.1時間
清算期間が1カ月を超える場合には、以下のことを守らなければいけません。
清算期間における総労働時間が、週平均40時間を超えないこと。
1カ月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないこと。
いずれかを超えた時間については時間外労働となります。
このため、繁忙月であっても過度に労働時間を増やすことはできないので注意が必要です。
業務の効率化にフレックスタイム制を導入しよう
いかがでしたでしょうか。
フレックスタイム制度は、現代の多様化する生活環境に適した、働き方改革の軸にもなりうる制度と言えるのではないでしょうか。
新型コロナウィルス感染拡大を契機として、私たちは自宅勤務やリモートワークなど、新たな働き方をスタートさせました。
そのため、自宅勤務やリモートワークと併用しやすいフレックスタイム制の導入を検討している企業もあるようです。
働き手が不足している今日では、より多くの人材を確保するため、フレックスタイム制を導入する企業はますます増えてくるでしょう。
この記事の監修者・著者
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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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