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コンピテンシー評価とは?評価導入のメリット6つと導入手順を紹介

その他 更新日:2023.02.27
エンジニア採用
コンピテンシー評価とは?評価導入のメリット6つと導入手順を紹介

コンピテンシー評価とは?

 

コンピテンシー評価とは評価制度の一つで、高いレベルの業務成果を生み出す人の行動特性を設定し評価することです。

 

コンピテンシーとは行動特性のことで、高業績者には共通の行動特性がある、という考え方から生まれました。

 

高業績者のスキル、ノウハウ、基礎能力などを細かに観察し、その行動を評価の基準、行動の基準に活用し、評価します。

コンピテンシーとスキルの違い

コンピテンシーは高業績者に共通した行動特性、スキルは専門的な能力、技術のことを表します。コンピテンシーは「能力や技能を発揮する力」です。スキルだけ持っていてもそれを生かせなければ全く意味がありません。

 

スキルは技能や専門的な能力自体を指し、それを生かしてこそ、高い評価に結びつきます。

コンピテンシー評価の領域6つ

 

コンピテンシー評価には6つの領域があります。コンピテンシーディクショナリーとも呼ばれ、必要なコンピテンシーを全て洗い出し、整理したものです。

 

領域は「達成行動」「対人支援」「インパクト・影響力」「管理」「知的」「個人の効果性」の6つの領域に分けられ、さらに21の項目に分類されます。これらは、コンピテンシーの研究機関、スペンサー&スペンサーによって発表されました。

コンピテンシー評価の項目1:達成とアクション

達成行動の領域は、「自身が達成するために行動していること」です。達成思考や秩序や品質、正確性への関心度、率先度(イニシアチブ)、そして情報収集などの能力を問われます。

 

他の人に影響を与えるものではなく、個人が実際に職務を達成するためにする行動を重視する項目です。

 

目標を設定しそれに向けての行動、環境に対する行動、情報探求にかかる行動力などを評価します。

コンピテンシー評価の項目2:支援と人的サービス

対人理解と顧客支援思考が問われます。具体的にいうと「他の人たちのニーズをどれだけ読み取れるか、応えられる努力をするか」です。

 

顧客の興味や懸念、ニーズに自分を合わせられるか、ニーズを汲み取って顧客が満足するために動けるかを評価します。

コンピテンシー評価の項目3:インパクトと影響力

インパクト、影響力のほかに、組織感覚や関係構築なども問われます。具体的にいうと「他の人に対してどれだけ影響を与えられるか」「どれだけ影響力を欲しているか」です。

 

影響力を増すためのアクションを行なっているかが評価ポイントになります。しかし、自分の地位や名誉だけを追い求め、他人を蹴落とすような行動は評価されません。

 

組織感覚は、組織内のパワーバランスを理解する能力で、組織の位置を理解する能力を示します。これは対人理解の尺度を対組織まで広げたものです。

 

関係構築は、職務関連の目標に貢献してくれる人々、また、将来、貢献してくれるで可能性のある人々との関係、ネットワークを構築、維持する能力を問います。

コンピテンシー評価の項目4:マネジメント・コンピテンシー

マネジメント・コンピテンシーは管理領域とも呼ばれます。他者を育成、指導する能力、チームワーク、リーダーシップなどの4つの領域に分類され、インパクトと影響力の特別な下部セットと認められているものです。

 

他の人たちと協働し、チームとして協力し、他のメンバーと助け合う力やリーダーとしての役割を担う意思を持っているかを評価します。また、他の人々を教育し、能力の開発を促す行動も評価対象です。これらはマネジメントを行うマネージャーにとって重要な能力と認知されています。

コンピテンシー評価の項目5:認知コンピテンシー

認知コンピテンシーとは「状況や、タスク、問題、機会または知識の内容を理解することに努力をする」ことです。

 

状況や、相手の言動から、額面通りの意味として受け取らず、より深く理解する行動が求められます。さらに、自分の職務上の業績に「付加価値」をつける行動も評価され、能力とモチベーションを測ります。

 

認知コンピテンシーは知的領域とも言われ、分析的志向や概念的志向、技術的、専門職的、管理的専門志向など3つに分類されます。

コンピテンシー評価の項目6:個人の効果性

個人の効果性は自己管理や自信、柔軟性、組織への責任の4つに分類されます。

 

感情に支配されないセルフコントロールがしっかりとできていることを評価する、自分自身の能力に対する自信、いろいろな角度から物事を見られる柔軟性、そして個人の行動を組織の業績に結びつけられるかどうか、が評価点です。

 

特に強いストレス耐性や優れた決断力と独立心、そして、状況によって視点や行動を変えられる柔軟性はコンピテンシー評価の共通の項目として評価の対象となります。

コンピテンシー評価のメリット6つ

 

コンピテンシー評価は実績や成果だけではなくそれに至るプロセスが評価の対象です。また、会社の理想とする行動特性が明確になり、会社が求める人材像を把握しやすくなるのもメリットの一つです。

 

ここからはコンピテンシー評価のメリット6つについて紹介いたします。

コンピテンシー評価のメリット1:効率的に人材育成できる

コンピテンシー評価では、実際に高い業績をあげている人の行動を評価基準として設定します。そのため、現場に即した実務的な行動評価基準による評価が可能です。また、具体的な行動内容は実際の行動目標として設定しやすく、目標を活用した能力開発が実現しやすいでしょう。

 

高業績者の行動内容で経営資源に活かせるノウハウや知恵を抽出し、発展させて組織全体で共有することで、個人個人の能力の底上げに繋がります。

コンピテンシー評価のメリット2:評価者が評価しやすくなる

コンピテンシー評価基準は、モデルを作成しそれを社内で共有するために評価基準が明確です。

 

能力評価では基準が曖昧になり、評価者の主観や価値観、思い込みが評価に反映してしまう可能性があります。しかし、コンピテンシー評価では、基準が明確なので、評価内容に評価者の主観等は入り込む余地がありません。

 

そのため、より本質的で公平な評価が行いやすくなります。

コンピテンシー評価のメリット3:評価に対する納得度が上がる

コンピテンシー評価では具体的な行動モデルを設定し、それに従ってコンピテンシー評価表を作成しましょう。

 

コンピテンシー評価方法を明確化することで、成功法則が社内で共有化されます。そうすることで、そのサンプルを具体例として、被評価者も自分にどんな行動が足りないのか、逆に足りているのかが可視化でき、評価内容の理解と納得がしやすいのです。

 

被評価者はどんなことが高い評価につながるのかわかりやすいため、評価への不満が減り、周囲との信頼関係も強固になり、若手の離職率低下にもつながる可能性があります。

コンピテンシー評価のメリット4:人員配置などの管理がしやすくなる

個人にはそれぞれ保有するスキルや特性、適性があります。コンピテンシー評価を導入することにより、個人のコンピテンシーの把握が可能となり、その行動特性から適材適所の人材配置が容易になるでしょう。

 

個人の行動特性を明確に知ることで、人材の適性を知ることができ、事前にふさわしい人事配置を行うことができます。

 

適材適所、というのは本人の能力が高く発揮できる環境におくということです。そのため、コンピテンシー評価を導入することは戦略的な人材のマネジメントにも繋がります。

コンピテンシー評価のメリット5:生産性が上がる

コンピテンシー評価により、社員一人ひとりがどんな行動をとるのかが明確になります。そのため、適材適所の人事配置が可能です。また、現場に即した具体的で実務的な行動基準・行動項目が明確化されるため、具体的な行動目標を設定できます。

 

コンピテンシー評価によって、実際の行動を促すことで、行動が成果を創出、促進し、効率的かつ生産性の高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

コンピテンシー評価のメリット6:社員のモチベーションが上がる

コンピテンシー評価は実績や成果ではなく「プロセス」を評価するものです。具体的な行動をモデルとして周知することで、基準が明確になり人事評価への納得感が高まります。

 

また、具体例を示すことで「何を頑張ればいいのか」が明らかになり、それを目標とすることで、社員の能力の底上げにも繋がるでしょう。さらに、その頑張りや努力が評価されるポイントが分かりやすく、モチベーションがあがります。

コンピテンシー評価のデメリット5つ

 

一方でデメリットも存在します。コンピテンシー評価は行動特性を評価基準とするために、モデルの設定や特性の抽出、項目設定など一連の流れに時間がかかります。

 

ここからはコンピテンシー評価のデメリット5つについて紹介いたします。

コンピテンシー評価のデメリット1:各企業や部署に合う評価基準が必要

一つの企業であっても部署により行動特性は異なります。そのため、企業ごと、部署ごとのコンピテンシーモデルを設定することが必要です。また、職種や階級に応じた行動モデルも必要となるでしょう。

 

どんなに制度の高い評価制度を導入したとしても、自社や仕事内容に合致したものでなければ意味がない可能性があります。

 

評価項目が社員の行動指針となり、目標を見据えた行動の動機付けなるものとして運用できるか、常にチェックする必要があるでしょう。

コンピテンシー評価のデメリット2:評価導入の共通認識が必要

コンピテンシー評価導入にあたっては、社員への説明と共通認識は必須です。設定した評価項目が常に社員の行動の指針になるか、目標意識を持った行動の動機づけになるかは、社員が制度をきちんと理解していることが重要になります。

 

コンピテンシー評価は、社員の行動原理を変えて成果を出し、企業の中で向上していく人材を育成することが目的です。そのため、評価導入にあたっては社員への説明、共通認識が必要となります。

コンピテンシー評価のデメリット3:定期的に評価基準の見直しが必要

コンピテンシー評価の基準を作成し、運用が開始されたらそれでお終いではありません。企業の経営方針の変化に伴いコンピテンシーの項目も共に変化させます。

 

コンピテンシーを変化することは容易ではありません。また、評価制度は多くの社員に影響を与えるため、コンピテンシーを変化させることで不満が発生することもあるでしょう。

 

コンピテンシー評価は具体性の高い評価制度のため、環境の変化に十分に対応することは難しい可能性があります。そのため、定期的な見直しは必須となります。

コンピテンシー評価のデメリット4:評価の軸となる基準の抽出が難しい

評価軸を作成するためにはサンプルとなる高レベルの人材を抽出しなければなりません。その上、抽出した人材の行動統制や思考のパターンなど丁寧にヒアリングしてアウトプットする必要があります。

 

また、アウトプットする行動特性のサンプルが少ないと、その行動特性が成果と結びついているのか信用性に欠けるでしょう。信用性が欠ける行動特性では効果的な評価項目が設定できません。

 

基準となるサンプルが抽出できなければ、客観的な評価軸の設定は不可能です。

コンピテンシー評価のデメリット5:評価者の主観が入りやすい

どんな評価制度でも少なからず主観が入る余地が残っています。コンピテンシー評価でも同様です。

 

自己評価では「基準を満たしている」と判断しても、評価者の主観によっては「満たしていない」という評価が下りる可能性があります。また、人間同士の相性や観察の頻度の差が生まれたり、評価者の正確さにばらつきが起こる可能性も高いです。

 

客観的指標として活用する方法を検証して最適化していく方法を探る必要があります。

コンピテンシー評価を導入する手順7つ

 

ここからはコンピテンシー評価を導入する方法について解説していきます。今回は、プロジェクトを立ち上げることを始めとした6項目をピックアップしていきます。

コンピテンシー評価を導入する方法についてご興味がある方は、参考にしてください。

コンピテンシー評価を導入する手順1:プロジェクトを立ち上げる

まずはコンピテンシー評価を導入するためのプロジェクトチームを立ち上げましょう。プロジェクトを立ち上げる際のポイントは、「なるべく専任とすること」「メンバーに管理者側と、実際に高業績を修めている社員を加入する」の二つです。

 

プロジェクトチームを立ち上げる際はプロジェクトチームのメンバーは専任であることが望ましいです。コンピテンシーには入念な評価基準の策定が必要になり、その業務を深く掘り下げる必要があります。そのため、専任であることが望ましいのです。

 

また、チームメンバーに各部門の責任者や管理者、さらに、モデルとなりうる各部門の高業績者を選びましょう。

コンピテンシー評価を導入する手順2:コンピテンシーの検討

コンピテンシーモデルは組織や業務ごとに設定します。社員の基準となる行動のため、働き方が変われば、評価項目の変更を検討しなければいけません。

 

コンピテンシーディクショナリーを参考に、現場の状況とリンクさせ、それぞれの職種や業種に合ったコンピテンシーモデルを具現化していきます。

 

この時設定するのは、あくまで現状に沿ったものであり、適時改訂が必要です。

コンピテンシー評価を導入する手順3:ヒアリング

評価基準、項目を定める際には、まず自社での高業績・成果を上げている社員へのヒアリングを行いましょう。ヒアリング及び情報の収集も必要です。

 

また、同時に一般社員へのヒアリングも重要となります。一般社員のヒアリングを行い、高業績者との行動の相違点があれば、それも評価の対象にしやすくなるでしょう。

 

理想型モデルの場合には、企業理念や事業内容にあった理想の期待行動を設定します。理想となる人物像を経営者や管理職からヒアリング、分析して設定しましょう。

コンピテンシー評価を導入する手順4:抽出したものをすり合わせる

コンピテンシーモデルや項目は企業ビジョンや経営戦略と目指すべき方向が同じでなければ、コンピテンシーで評価した社員が企業の成長に貢献することができません。

 

抽出したコンピテンシー候補は、まず企業ビジョンや経営戦略とのすり合わせを行いましょう。それから合わないものはリストから外して、ブラッシュアップを行いましょう。

 

自社が目指すべき方向性とズレがないようにすり合わせを行い、企業戦略に沿った自社評価モデルを策定することで、効果的なコンピテンシー評価項目を作成できます。

コンピテンシー評価を導入する手順5:評価の段階を設定

モデルのヒアリング、抽出が完了したら評価項目を決めます。評価項目が決まったらコンピテンシーディクショナリーを参考として包括的な項目を決定していきましょう。

 

細かな評価項目が決まったら、達成レベルを図るための評価基準の作成をします。評価は5段階など、数値化することで分かりやすく、理解されやすい評価基準となります。

 

数値化した評価は、合計点数や特定項目の点数などを人事評価や昇進案件などに活用しましょう。

コンピテンシー評価を導入する手順6:評価の調整をする

評価を決定する際には共通基準と業務や役割に応じて活用する個別基準を決めておくと全体的に公平な評価ができます。

 

その後、評価が適正かどうかテストします。自社の高業績者を評価基準に照らし合わせて、その基準が正当なものか確認しましょう。さらに、一般的な社員へもテストを行なって、結果に齟齬がないかを確認します。

コンピテンシー評価を導入する手順7:定期的に評価軸の再検討をする

コンピテンシー評価は定期的な評価軸の検討・見直しは欠かせません。経済活動は日々変化し、ビジネスモデルや企業の経営環境に応じてどのような行動が業績に結びつくかが大きく変わるからです。

 

注力する領域が変われば、行動特性も変化します。経営環境の変化や組織への影響を考えつつ、定期的な見直しをしましょう。

 

定期的に評価項目を更新しながら、長期的にプロジェクトを継続させることで、変化に対応しながら、安定的にコンピテンシーを運用していけます。

コンピテンシー評価を導入しよう

 

コンピテンシー評価は職域ごとに定義された行動特性をもとにして行われる評価制度です。成果や業績だけではなく、それに至るまでのプロセスに注目して評価が行われ、客観的に社員の能力や適正を測れる評価として知られています。

 

コンピテンシー評価は導入に手間がかかる、柔軟性に欠けるなどデメリットがありますが、評価基準が効率的な人材育成や評価への納得度の向上、戦力的に人材をマネジメントしやすいなどの大きなメリットも期待できるでしょう。

 

コンピテンシー評価をするためのツールやコンピテンシー評価モデル集などの書籍もありますので、導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニアAWSパートナー/Salesforce認定コンサルティングパートナー 認定企業
ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。

・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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