インセンティブとは?技術派遣企業にインセンティブを導入するメリット2つ
インセンティブの意味とは
インセンティブとは成果報酬です。「インセンティブ報酬」や「インセンティブ手当」という言葉もあります。また、インセンティブは英語で「incentive」と表記され、ラテン語で「励ます」という意味があるincentivusが語源です。
インセンティブの意味は「意欲を引き出すために与えられる刺激」であることから、ビジネスの場では「目標を達成したときに与える報奨金」という意味で使われます。
ボーナスとの違い
ボーナスは企業全体の成果による報酬であり、ボーナスの金額は企業全体の売上げなどから算出されます。
一方でインセンティブは個人の成果によって発生する報酬です。ボーナスは正社員全員が受け取れますが、インセンティブはボーナスとは違い成果を個人だけが受け取ることができます。
歩合制度との違い
インセンティブと歩合はどちらも成果に対して払われる金銭です。
インセンティブ制度の場合は「固定給+インセンティブ」で、固定給があるためリスクが低いですが成果に対する報酬も少額となります。
一方で、歩合制度のある企業の場合は「固定給+歩合」という場合もありますが、歩合制度の中でも完全歩合制の場合の給与は「歩合のみ」です。完全歩合制の場合は固定給がないためリスクが高いですが、成果に対する報酬が高額となります。
技術派遣企業にインセンティブ制度を導入するメリット2つ
技術派遣企業はエンジニアを企業に派遣する会社です。派遣されるエンジニアごとに雇用契約書が異なります。基本的に派遣先で働くことになるため、仕事の指示や労働時間は派遣先の規定に従いますが、給料は派遣会社の規定になります。
社員がみな違う勤務先なので、評価基準しづらいのが技術派遣の特徴です。そのため、インセンティブ制度を実施している企業は少なくないと言われています。
技術派遣企業がインセンティブ制度を導入するメリットを紹介します。
成果主義の企業に適している
インセンティブ制度のもとでは仕事の評価はプロセス(過程)ではなくコミッションに対する結果次第になるため、成果主義の企業に適しています。
技術派遣会社の場合は会社によってプロセスの評価が異なるため、プロセスで平等に評価することは難しくなるでしょう。しかし、インセンティブ制度ならば売上計上で判断できるので平等な評価が可能になります。また、給料の算出方法が明確なので給与規定にも採用できます。
社員のモチベーション維持
インセンティブ制度は個人の成果が評価されて毎月の給料に反映されるため、社員のモチベーション(やる気)を高く維持する効果があります。また、目標も明確になるので、企画に対して自然に創意工夫する傾向が、対象となる社員全員に身に付く可能性があります。
なお、賞与でも社員のモチベーションを高くできますが、それは一過性でありモチベーションを高く維持する効果はありません。
技術派遣企業にインセンティブ制度を導入するデメリット2つ
インセンティブ制度は基本的に個人の成果で給料が決まるため、個人プレーに走る社員が増えることがあります。
事例の1つとして、ある企業では先輩社員が新卒社員の教育を指示されたとき「新人の成果は自分のものにならない」といって拒否する悪い例があります。
技術派遣企業がインセンティブ制度を導入するデメリットを紹介します。
成果を上げられない人のモチベーション低下の恐れ
成果を上げられないことが評価や給料に直結する場合、成果を上げられない人はモチベーションが低下する可能性があります。モチベーションの低下は最終的に退職につながってしまうでしょう。そのため、上司は成果が出るようにサポートする必要があります。
上司は成果が個人の力だけで出るものではないことをしっかり認識していることが必要で、売り上げや改善と言った目に見える成果だけでなく、成果に至るまでのサポートも成果として評価する必要があります。
また成果を上げられない人がいる場合、上司は従業員間の支援・協力関係を見直し、チームの再構成などを検討すると良いでしょう。
チームワークの乱れにつながることもある
仕事は決して個人でするものではなく、成果を出すためにサポートをする人も含めてチームプレーです。しかし、インセンティブ制度を導入することで目に見える成果を出すことを競い合い、誰もが成果になりにくいサポートを嫌がるようになります。
その結果、チーム内の支援・協力体制が崩れチームワークが乱れてしまいます。チームワークの乱れを防ぐためには、上司も一緒に「成果とは何か」や「評価のポイント」を明確にする必要があるでしょう。
成果は一人のものではないことを意識し、サポート役も成果として評価されることでチームワークの乱れを防ぎ、適材適所で生産性を高めることができます。
技術派遣企業にインセンティブ制度を導入する際のポイント5つ
技術派遣会社は社員の評価基準の設定が難しいため、今までも成果主義の傾向があります。そのため、インセンティブ制度の導入に積極的な企業が多いです。
インセンティブ制度は公平な評価により社員の不満が全体的に少なく、社員の間でも給料を上げるためにスキルアップを目指すモチベーションの高さが維持されるメリットがあります。
しかし、一方で成果主義が行き過ぎてそれぞれが足を引っ張る、個人プレーに走る、成果につながらない仕事はしないといったデメリットもあります。
技術派遣企業にインセンティブ制度を導入するときのポイントを紹介します。
インセンティブ制度を導入するポイント1:実態に応じて柔軟に変更できるルール作りをする
請負契約エンジニアの場合、契約した成果を出せばよいと考えて、契約した仕事以外のことをしないことがあります。また、逆に契約外の仕事を成果と認められないことがあります。
例えば、請負契約しているエンジニアが特許につながる技術提案をしても、請負契約を結んでいる仕事ではないため成果の対象外となると、請負契約エンジニアはアイデアがあっても提案しない場合があります。これでは双方の会社にとって損失が出てしまいます。
そのため、インセンティブ制度を導入する場合、契約外の業務での成果についても正当に判断するルールが必要です。契約時に分かっていることではないので、契約外の業務での成果については実態に応じて、柔軟に評価方法を変更できるようにルールを設ける必要があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のためにテレワークを始めた企業も増え、従来とは違った成果の形となったケースも多いです。このように組織全体で変化が生じたときは、実態に合わせたインセンティブに変えていくことがより大切でしょう。
インセンティブ制度を導入するポイント2:しっかりとしたシミュレーションを行う
技術派遣会社ではエンジニアの評価が難しいため、インセンティブ制度を導入するときはしっかりとしたシミュレーションを行うことが必要です。
派遣会社は派遣先の担当者の評価をもとに成果を算出しますが、派遣先にとっては自社の社員ではない人のため評価に抵抗がある人が多く、しっかりとした評価をもらえないことが多くあります。
また、技術派遣企業のインセンティブ導入の失敗で多いのが、インセンティブ制度を作る人が実際に請負契約を結んだため、実際に働く人の外での仕事内容を知らないことです。
インセンティブ制度を導入するときは、実際に請負契約を結んだエンジニアたちと話し合い、実際の現場の声を聞き、シミュレーションしながら構築・導入することが大切です。
インセンティブ制度を導入するポイント3:社員間で優劣が生まれないようにする
会社には営業など成果が売り上げと直結している社員と、事務など成果が売り上げに直結しない社員がいます。この2つを単純に売り上げで評価すると社員間で優劣が生まれる可能性があります。
優劣が生まれないようにするには、売り上げに直接反映されない小さな改善やチャレンジに対しても評価ポイントを設定することが大切です。なお、インセンティブ制度の規定は自由に設定できます。
好事例としては、個人のスキルアップに対してポイントを付与したり、チーム内での感謝の気持ちをポイントにするなどです。このような評価のポイントは個人のモチベーションアップはもちろん、チームワークの向上にもつながります。
インセンティブ制度を導入するポイント4:給与面でインセンティブ制度を導入する場合
インセンティブ制度を設定するときは支給の対象者が個人かチームか、インセンティブ付与条件と最後に各条件達成に対してどのくらい付与するかを決めます。
インセンティブの制度設計では支給額は相場などで決めず、人件費をベースに算出することが大切です。
そして、インセンティブ制度はチームワークを低下させることが多いので、チームプレーを重視できるように個人目標とグループ目標を併わせて成果とすることが大切です。
個人の人件費をベースに考えること
給与にインセンティブ制度を導入する場合、人件費をベースにした給与体系の考え方を忘れないようにします。人件費とは給与や賞与(ボーナス)の他に、退職金や社会保険料の企業負担分、慶弔金や社宅費などの福利厚生費用なども該当します。
社会保険料などの福利厚生費は絶対に必要で企業にとっては大きな負担です。社員1人当たりの人件費を把握した上でインセンティブの比率を考えないと、社員還元率が高すぎて経営が傾く可能性もあります。
個人目標とグループ目標を合わせて設定する
日本企業では個人主義にならないように、インセンティブを個人目標とグループ目標を合わせて設定するケースが多いです。
一部の社員だけに報酬が集中しないよう、チーム全体が協力して努力することで達成可能な条件を設定することが重要になります。また、会社の目標が達成できない場合に適用するようにしましょう。
例えば、一定割合で成果ごとに受注額の7%を付与したり、変動割合で100万までは3%の付与などがあります。
インセンティブ制度を導入するポイント5:非金銭的報酬のインセンティブを併用する場合
非金銭的報酬とは表彰や休暇など、お金ではない報酬をいいます。働き方改革の影響もあり、近年では金銭的報酬と非金銭的報酬とをうまく組み合わせる「トータルリワード」の重要性が浸透しています。
非金銭的報酬は金銭で払われないため年収に入ることがなく、社会的評価につながりにくいという転職時のデメリットはありますが、個人の満足度を高める効果があるため転職や退職防止に役立ちます。
また、手当や補助金のようなお金は課税の対象となっていますが、非金銭的報酬は課税対象外なので、税金や社会保険料で引かれて価値が落ちるといったことがあまりありません。
求人票で自社のインセンティブ制度をアピールしたいときの載せ方4つ
高スキルの技術者が欲しい企業にとって、高スキル技術者が好むインセンティブ制度があることは大きなアドバンテージになります。このアドバンテージを生かすには、求人票で自社のインセンティブ制度をアピールする必要があります。
インセンティブ制度の載せ方1:シンプルにインセンティブがあることを明記したい場合
インセンティブ制度のある場合、インセンティブの内容はいろいろ細かいことと求人票の文字数制限などから「各種インセンティブ有り」と書くことが多いです。
インセンティブに具体的なイメージを持ってもらうことが人材確保につながるケース、例えば不動産の営業の求人票では「インセンティブは仲介手数料の5~10%」「自社物件を販売した場合は歩合+販売価格の1%」というように具体的な内容を記載することもあります。
インセンティブ制度の載せ方2:研修期間の手当について明記したい場合
研修期間の給与や待遇が既存社員のものと差があるのは良くないと考える人が多いため、「研修あり」くらいしか記載しない企業が多いです。しかし、「求人票の給料と違う」といったトラブルを防ぐためには研修期間中の手当を細かく記載します。
インセンティブ制度がある場合は、インセンティブの評価が始まるのはいつかを明記し、それまではインセンティブの対象とならないことを明言すると良いでしょう。
インセンティブ制度の載せ方3:試用期間中はインセンティブがないことを明記したい場合
試用期間中にインセンティブの支給がない場合は、求人票にそのことを明記します。「試用期間中なのだから、ないのは常識」と思うのは企業側の都合です。
試用期間中にインセンティブの支給がない場合、求人票の給与欄には「月給〇〇万円+インセンティブ」と記載したあと、「試用期間中(最大〇ヶ月)はインセンティブの支給なし」と必ず書くようにします。
インセンティブ制度の載せ方4:社員のインセンティブ獲得状況を明記したい場合
社員のインセンティブ獲得状況を明記したい場合は「多くの社員がインセンティブを獲得」というような曖昧な書き方はせず、「〇%の社員が毎月インセンティブを獲得中」など、インセンティブ制度の活用具合が分かるような書き方をします。
さらに、給与モデルがあると分かりやすいです。例えば「入社〇年(電機メーカーに派遣) 月収○○万円(月給○○万円+インセンティブ○○万円)」と書かれていると求職者がイメージしやすくなります。
企業にインセンティブ制度を導入しよう
インセンティブは社員のモチベーションを向上させるのにとても役立ちます。
高スキルな技術者はインセンティブ制度を歓迎する人が多いため、インセンティブがある企業の求人は注目されます。また、インセンティブ導入は技術派遣企業にとってメリットが大きいです。
しかし、メリットが大きい分だけインセンティブ制の設定方法を誤ると社員のモチベーションや企業の経営に大きなダメージを与える可能性があります。そのため、技術派遣業界は社員の評価が難しいという共通認識があるので、きちんと予算と時間をかけてシミュレーションしてインセンティブの内容を決める必要があります。
この記事の監修者・著者
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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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