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リスキリングとは?DX人材を育成するための推進方法・事例・メリットまで徹底解説

人材教育 更新日:2023.03.16
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リスキリングとは?DX人材を育成するための推進方法・事例・メリットまで徹底解説

 

近年、ビジネスで「リスキリング」という言葉を耳にする機会も増えています。しかし、聞いたことはあるが、リスキリングの意味や他用語との違いはわからない人もいるでしょう。

 

そこでこの記事では、リスキリングとは何か言葉の意味や他言語との違いを解説します。また、リスキリングが注目される背景や実施するメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

リスキリングとは?

リスキリングとは、「今の職業もしくは新しく目指す職業で必要とされるスキルに対応するために新しいスキルを獲得する動き」を意味する言葉です。

 

経済産業省の「リスキリングとは-DX時代の人材戦略と世界の潮流-」では、下記のように定義されています。

 

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」

引用元:リスキリングとは-DX時代の人材戦略と世界の潮流-

 

 

近年ではIT技術を中心に急速に技術革新が起こっており、環境に適応するために新しいスキル習得を求められます。こうした背景から、リスキリングに注目が集まっているのです。

リスキリングとリカレント教育、その他似た言葉との意味の違い

ここでは、リスキリングと似た意味を持つ言葉とその違いを紹介します。

 

  • リカレント教育との違い
  • 生涯学習との違い
  • アンラーニングとの違い
  • スキルアップとの違い

リカレント教育との違い

リカレント教育は「繰り返す」「循環する」という意味を持ち、1度現職を離れ新しいスキルの獲得を目指す仕組みです。

 

働く→学ぶ→働く

 

どちらも社会人がスキルアップする点は共通しています。

 

しかし、リカレント教育の場合、一度現在の職場を離れ大学や専門学校などで学びなおす工程が入ります。

 

一方リスキリングは、現状の職場を離れることなく業務と並行してスキル習得を目指す考え方です。

生涯学習との違い

生涯学習はビジネスに限らず、生涯にわたり続ける学びを意味します。ビジネススキル以外にもスポーツや文化的活動、ボランティア活動など新しい経験やスキルにつながる活動は生涯学習です。

 

人生100年時代といわれるなかで、生涯にわたり学び続けることは生きがいや健康的な生活にもつながります。そのため、国でも生涯学習を推進しており、活動の場を支援する動きもあるのです。

 

リスキリングがビジネスでの新しいスキル習得を意味するのに対し、生涯学習は人生全体で学ぶあらゆる活動を含みます。リスキリングと生涯学習は学びの範囲が異なるのです。

アンラーニングとの違い

アンラーニングは今までの知識やルーティンを捨てて、新しいスキルや工程を取り入れることです。社会情勢が目まぐるしく変化するなかで、従来のやり方を踏襲するだけでは対応できないケースもあります。

 

従来のやり方に上乗せするのではなく、あえて変化を加えることで成果を高める考え方です。リスキリングとの違いは、従来のやり方を捨てるか踏襲するかが異なります。

 

アンラーニングは従来のやり方を捨てる点が特徴ですが、リスキリングは従来のやり方を捨てるとは限りません。場合により従来のやり方を残したまま、新しいスキルを導入するケースもあります。

スキルアップとの違い

スキルアップは、学ぶスキルの新しさや需要を考えずスキルアップすることです。仕事に役立つスキルや、知識を習得すること全般をスキルアップと呼びます。

 

リスキリングもスキルアップの1つで、スキルを習得する意味では変わりません。

 

しかし、スキルアップはどんなスキルでも対象ですが、リスキリングは環境の変化や新しい技術の流れに対応する目的でスキルを習得する仕組みを指します。

 

同じスキルでも、Word・Excelなど従来からあるスキルもあれば、AI開発・DXなど最新技術を活用するスキルもあります。リスキリングとスキルアップは、対象スキルの幅が異なるのです。

リスキリングが注目されている理由と背景

 

リスキリングが世界的に注目されはじめたのは、2020年世界経済フォーラムで「リスキリング革命」が発表されてからです。

 

世界経済フォーラムは毎年スイス(ダボス)で開催されており、世界的大企業や金融機関などが参加します。フォーラムでは意見交換や世界経済の見通しなどが話し合われており、影響力のある参加者がいることから注目されるイベントです。

 

世界経済フォーラムでリスキリングの重要性を発表した背景には、技術革新による人材の偏りと人材不足の懸念があります。

 

リスキリング革命」によると、AIやIoTなど最新技術の普及により世界で1億人の雇用に影響があると予測。技術革新で需要の減少する職業と拡大する職業があり、社会全体で変化に対応する必要があると指摘しています。

 

またIT分野の需要が高まるなかで、専門分野を担う人材不足も深刻化しているため、リスキリングを推進し人材の流動性を高める必要があると発表したのです。

 

リスキリング革命では「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」ことを目標としており、時代の変化に対応した人材育成を課題としています。

日本市場におけるIT人材・DX人材の不足

世界ではリスキリングや人材育成の対策が実施されていますが、日本ではまだ進んでいるとはいえません。

 

 

三菱総合研究所」の調査によると、2020年まではすべての業界で人材不足が深刻です。

 

しかし、2030年ごろになると事務職で120万人、生産職で90万人が過剰供給になると予想されています。

 

一方IT人材を含む専門職の需要は高まり、2030年には170万人不足するといわれているのです。

 

このデータから、日本では全業界で人材不足が進んでいる一方、技術革新による需要の変化への対応が必要とわかります。しかし、日本ではIT人材育成やDX推進など対策が遅れているのです。

 

 

リスキリングをめぐる内外の状況について」によると、テクノロジーの変化に追いつけるように新しいスキルを学んでいる個人は日本が最も少ないと結果が出ています。

 

 

また企業に関しても、DXの取り組みについて

 

  • 対応できる人材がいない
  • 必要なスキルやノウハウがない
  • 対応する時間が確保できない

 

などの理由で進んでいないのです。

 

今後のさらなる技術革新の波を乗り越えるためには、日本社会全体でリスキリングでの人材育成に取り組む必要があるでしょう。

国際的に見て圧倒的に低い日本企業の能力開発費

上記で解説した人材不足に加え、日本企業の能力開発費は他国に比べて割合が低いのも問題点です。

 

 

平成30年労働経済の分析」のGDPに占める企業の能力開発費データによると、日本企業の能力開発費割合は他国と比べても低い水準です。

 

ただし、このデータは2014年までのデータであり、2015年以降人手不足の影響で能力開発費は増加傾向にあります。

 

 

データでは、2015年から右肩上がりに能力開発費は増えており、人材不足を人材育成により解消しようとしている点がわかります。

 

しかし、それでも日本企業の能力開発費への投資が十分とはいえません。とくに企業規模や業界により取り組みにばらつきがあります。

 

 

従業員1人あたりの能力開発費をみると、製造業・情報通信業・卸売業では大企業の能力開発費が多いです。とくに情報通信業では、約1.7倍差がついています。一方小売業や宿泊・飲食サービス業では、中小企業のほうが能力開発費を支出しています。

 

理想は全業種で開発能力費割合を増やすことですが、現状は企業ごとに差が大きいです。

リスキリング「5年で1兆円投資」と岸田総理が表明

日本企業も人手不足などを背景に、能力開発費を増やしつつあります。しかし、企業ごとに経営状況や人材分布などは異なるため、企業努力だけでは限界もあるのです。

 

そのなかで、2022年10月に岸田総理が所信表明で「5年で1兆円の個人リスキリング支援」を表明しました。労働移動の潤滑化を目的としており、指針を2023年4月までに行うとしています。

 

政府がリスキリング支援を表明したことで、民・官問わずリスキリングが推進される可能性があるでしょう。

経済産業省のリスキリングに対する取り組み

日本で人材不足が加速するなかで、経済産業省では2021年より「デジタル時代の人材政策

に関する検討会」を実施しています。

 

 

検討会では、業界ごとのIT・DX活用の実態調査やIT資源を活用できる人材に関する動向などを確認しています。そのうえで、必要な対策や人材育成がとくに必要な分野の提言などを実施しているのです。

 

また、実際に企業でDX推進やリスキリングを行うための指標なども専門家を交えて作成しており、リスキリングを推進する基盤はできつつあります。

 

さらに令和4年度補正予算「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を実施する事務局の立ち上げも開始。あまりニュースなどで取り上げられることは少ないですが、日本でも着実にリスキリング推進が行われています。

企業がリスキリングを行うメリット

 

ここでは、企業がリスキリングを行うメリットを解説します。

 

  • DX人材不足・IT人材不足を補うことができる
  • 新規事業・アイデア・イノベーションの創出が期待できる
  • 業務を効率化できる
  • 採用コストを削減できる
  • 企業カルチャーや社風・理念の維持と発展

DX人材不足・IT人材不足を補うことができる

企業がリスキリングを実施することで、DX・IT人材不足を補うことが可能です。

 

上記で解説したとおり、DX・IT人材はそもそも不足しており、自社に足りないからと外部からすぐに採用できるかといえば、そうもいきません。

 

その点リスキリングを実施すれば、社員をDX・IT人材にキャリアチェンジさせ活躍してもらえます。もちろん、ITスキルを学べる環境や支援は必要です。

 

社員は新しいスキルを身につけ活躍でき、企業もDX・IT人材を補えるのはメリットといえるでしょう。

新規事業・アイデア・イノベーションの創出が期待できる

リスキリングは、新規事業のアイデアやイノベーション創出につながるケースもあります。

 

リスキリングにより社員が新しいスキルを身につけることで、今までにない発想や問題解決方法が見つかる可能性があるのです。

 

たとえば、今まで紙媒体での宣伝のみ行う企業で、Webサイト制作やSNSマーケティングなどスキルを社員が身につけたとします。紙媒体でしか発信できない情報をSNSやWebサイトで発信すれば、新しい顧客開拓や売上アップにつながるかもしれません。

 

このように、リスキリングにより新しいスキルが増えると、新しい事業やイノベーションにつながるメリットがあるのです。

業務を効率化できる

リスキリングで社員がスキルアップすれば、日常の業務を効率化できます。

 

たとえば、今まで手作業で行っていた事務作業も、社員にITツールの操作を学んでもらえば自動化し作業時間を短縮可能です。また、今まで1時間かかっていた作業も、知識・スキルが向上すれば30分で完了できるかもしれません。

 

多くの社員がスキルアップすれば、それだけ業務効率向上の恩恵も増えます。業務効率をアップさせたい企業も、リスキリングを推進するメリットは多いのです。

採用コストを削減できる

リスキリングを実施すれば、採用コストを削減できます。特定の人材が不足した場合、企業に取れる選択肢は新しい人材の採用か育成です。

 

しかし、新しい人材を採用するには求人サイトへの登録費用や広告費など、採用コストが必要になります。

 

その点リスキリングを実施すれば、社内の人材を育成し活用できるため、採用コストはかかりません。また、社員が希望の職種に転身できれば、モチベーションを高められます。社員の活躍の場を作りつつ、採用コストを抑えられるのは大きなメリットです。

企業カルチャーや社風・理念の維持と発展

リスキリングで社員をスキルアップさせて活用すれば、企業文化や社風、理念の維持を継続しつつ人手不足を解消できます。

 

人手不足解消のために多くの人材を採用すると、企業文化や社風などが崩れるリスクもあります。社外から新しい考え方を取り入れるのも大事ですが、顧客に支持されている理念をなくしては損失につながる可能性もあるでしょう。

 

その点リスキリングを実施すれば、必要以上に新規社員を増やさず既存社員を育成して問題を解決できます。社風や企業理念を守りつつ、企業を繁栄させたい場合はリスキリングも検討すると良いでしょう。

企業におけるリスキリングの推進方法

ここでは、企業におけるリスキリングの推進方法を紹介します。

 

  • 自社の経営戦略・事業戦略に基づく人物像と必要なスキルを決める
  • 社員の状態・スキルの理想と現況を分析する
  • 教育プログラムを検討・決定する
  • 社員にプログラムを受けてもらい改善する
  • 業務で実践してもらう

自社の経営戦略・事業戦略に基づく人物像と必要なスキルを決める

まずは自社の経営戦略や事業戦略を確認し、リスキリングで育成する人材像や必要なスキルを検討する必要があります。

 

リスキリングで社員に新しいスキル習得を促すとしても、企業によって必要な人材の種類やスキルは異なるでしょう。たとえば、自社内にほとんどITツールを扱える人材がいなければ、Word・Excelなど基礎的なITツールスキルを持つ人材が必要です。

 

一方AI活用やDXに関する事業を拡大したい場合、AI・DXなど専門的なスキルが求められるでしょう。まずは自社内の課題や経営方針などを確認し、必要な人材像とスキルを明確にしてください。

社員の状態・スキルの理想と現況を分析する

自社で求める人材像やスキルを明確化したら、次は社員のスキルレベルや人材分布を分析してください。

 

リスキリング施策を考えるにしても、何が不足しているかわからなければ具体的な施策を考えられません。

 

足りない人材の種類や人数を明確にし、どのようなスキルを習得してほしいか確認すれば、以降の具体的な施策立案で効果的な案を出すことができます。

 

事前に社員のスキルレベルを測るアンケートを実施したり、資格手当の利用状況などを分析したりすることで施策実施後の結果測定にもつながるのです。

 

その際、現状どのくらい実現しているか社員に周知するのも大事です。社員に周知できれば、具体的な施策を実行する際に協力してもらいやすくなります。

教育プログラムを検討・決定する

自社に必要な人物像やスキルなど現状を把握したら、次はリスキリングの教育プログラムを検討・決定しましょう。

 

eラーニングや研修会・勉強会の企画、教育できる人材の確保などできるだけ具体的に計画を立ててください。教育プログラムは自社で作成する方法もありますが、本業に集中するために外部に頼る方法もあります。

 

たとえば、「Google Career Certificates」や「日本リスキリングコンソーシアム」など、効率的なスキル習得につながるプログラムを活用するのもおすすめです。

 

この2つ以外にも、分野別にプログラムを実施してくれるサービスは多数ありますので、計画と同時に外部委託するかも検討しましょう。

社員にプログラムを受けてもらい改善する

リスキリングの教育プログラムが決定したら、社員にプログラムを受けてもらいます。

 

ただし、最初から満足いく成果の出るプログラムを計画するのは簡単ではありません。社員の特徴やスキルレベルによっても成果は変わるため、社員の声を定期的に聞きながらプログラムに反映する必要があります。

 

フィードバックをもとに、どの部分を改善すべきか検討してください。社員が参加しやすいプログラムを作成できれば、モチベーションを維持したままスキルを習得してもらえます。

 

しかし、プログラムを改善するときは、自社の経営戦略や必要な人材像から外れないように注意してください。

業務で実践してもらう

リスキリングの教育プログラムを実施したら、習得したスキルを業務で活用してもらいましょう。スキルは学んで終わりではなく、身につけたスキルを仕事に活かす必要があります。

 

実際にスキルを活用した結果、業務がうまくいくのか確認し、社員の感想や考えをフィードバックしてもらうと良いでしょう。結果は社員や企業間で共有し、改善点があれば以降のプログラムに反映できます。

企業がリスキリングを導入・推進する上の注意点

 

ここでは、企業がリスキリングを導入・推進するときの注意点を解説します。

 

  • 社員にリスキリングについて理解してもらう
  • 社外のリソースも活用する
  • 目標設定・評価・改善を行う

社員にリスキリングについて理解してもらう

リスキリングの導入・推進を成功させるには、社員が取り組みやすい環境を整備する必要があります。

 

企業の上層部や経営者が号令をかければうまくいくわけではなく、社員にリスキリングを行う目的やメリットを理解してもらう必要があります。

 

社員のなかには新しい取り組みに消極的な人や、効果を疑問視する人もいるかもしれません。そこで、まずは社員に実施する施策の内容をわかりやすく伝え、実施する目的を理解してもらいましょう。

 

協力的な社員が増えるほど、リスキリング導入の効果を高められます。

社外のリソースも活用する

社内の教育プログラムと合わせて、社外のリソースも有効活用しましょう。

 

社内のみでも教育は可能ですが、教育できる人材の確保や実施時の負担があるため、業務との兼ね合いが難しいケースもあります。

 

必要に応じて外部サービスやコンサルタントを利用すれば、負担は最小限にリスキリングを実施可能です。外部サービスは、専門家から実務レベルのスキルを学べる講座もあります。

 

また、補助金を利用できるケースもあり、コストを抑えつつ社員のスキル習得を実現できる可能性もあります。

目標設定・評価・改善を行う

リスキリングは実施するだけでなく、目標設定や評価も大事です。先ほど解説したとおり、目標を明確にしなければ実施後の評価ができません。また、計画を実施する際、目標が明確でないと社員の行動にぶれが生じます。

 

リスキリングの成功は目標設定が大事なので、自社の課題や不足しているところを明確にしてから計画を実行してください。

 

なお、計画の実施後は評価・改善が必要です。実行したら終了ではなく、効果がどれくらいでたか確認し、さらに結果を出すための改善点も確認しましょう。評価・改善を繰り返すことで、成果の出るリスキリングプログラムを作成できます。

企業や行政のリスキリング事例

ここでは、企業や行政のリスキリング事例を紹介します。

 

  • 富士通株式会社
  • キヤノン株式会社
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
  • 東京都
  • 静岡県庁

富士通株式会社

 

会社名 富士通株式会社
概要 ・自社と顧客のDX化を進める人材育成に着手

・適材適所の人材流動性を確保

・DX推進指標を作成で効果を可視化

 

富士通株式会社では、企業全体で社会のDX化に取り組んでいます。たとえば、自社と顧客のDX化を進められる営業職のスキルアップや保有スキルの可視化に着手しています。

 

営業職がDXに詳しくなることで、自社のビジネス創出はもちろん、顧客への最適な提案にもつなげる意図があるのです。

 

またリスキリングで身につけたスキルを最大限活かし、スキル習得のモチベーションを維持するため、適材適所で新しい仕事にチャレンジできる仕組みを採用。社内全体でリスキリングに対する意識を高める活動をしているのです。

 

さらに富士通では、DX推進指標を作成しており、実施したDX推進施策や人材育成などがうまく稼働しているか評価できます。

 

参照リンク

 

キヤノン株式会社

 

会社名 キヤノン株式会社
概要 ・開発職のプロフェッショナル育成制度

・経験を積むための国際出向制度

・若手社員のグローバル研修

 

キヤノン株式会社は、顧客により良いサービスを提供するため、社員のスキルアップを促進しプロフェッショナルな人材を育成しています。

 

  • 実務経験
  • 保有スキル
  • アセスメント
  • 資格

 

上記の判断指標をそれぞれ5段階にわけ評価。個人のスキル到達具合に合わせた育成計画を立てているのです。それ以外にも、経験を積むための国際出向制度もあります。日本から海外だけでなく、海外から日本、欧州から米国など国際的な人材交流を実現しています。

 

若手社員も積極的にグローバル研修を実施しており、研修では身につかない新たなスキルを身につける仕組みがあるのです。

 

参照リンク

 

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

 

会社名 株式会社NTTデータ
概要 ・技統本塾で技術者育成

・DXを考える会で知識を深める

・人事関連データを分析し育成に活かす

 

株式会社NTTデータでは、独自の教育システム「技統本塾」で技術者を育成しています。開発現場では業務が優先されるため、新しい技術や知識を深める場面が少ない点が課題でした。

 

そのなかで、経験豊富な技術者をトップとした「技統本塾」を開講。業務では扱えない新しい技術や深掘りした技術知識を学べます。

 

また、顧客のDX化要望に答えるため、社内で「DXを考える会」を実施しました。この会では、DXの基礎知識から顧客に満足してもらえるDX化とは何か理想像を共有しています。

 

さらに人事関連データを分析し、リスキリング時の教育内容に反映しています。学ぶべきスキルや最適な人事配置などを分析することで、企業・社員ともに利益につながっているのです。

 

参照リンク

 

東京都

 

会社名 東京都
概要 ・Microsoft Teams研修で業務効率改善

・ICT職新任研修を実施

 

東京都は、DX推進の一環としてMicrosoft Teams研修を実施しています。2023年2月以降随時都庁の全職員を対象としたTeams研修・Microsoft 365の活用研修を実施予定です。

 

Microsoft各種スキルを習得することで、業務効率の改善や円滑な情報共有が可能となります。また、合わせてICT職新任研修も実施しており、IT分野の幅広い基礎知識を学ぶほか、自発的に継続学習する習慣も指導。都庁のICTスキルレベルを向上させることを目標としています。

 

参照リンク

 

静岡県庁

 

会社名 静岡県庁
概要 ・ふじのくにDX推進計画の策定

・DX推進リーダーを育成する講座を実施

・若手職員によるDX推進チーム発足

 

静岡県庁では、県の施策として「ふじのくにDX推進計画」を作成しており、それに伴う県庁職員の育成に力を入れています。

 

職員のDXに関する知識やデータ分析の活用法などを学べる「DX推進リーダー育成講座」を開講。知識習得だけでなく、ワークショップで考える力も養えます。

 

また取り組みで育成した若手職員の活躍の場として、DX推進チームを発足しています。「ふじのくにDX推進計画」に20・30代の意見を取り入れるための施策で、短期間ながら新しい事業につなげることが目的です。

 

県全体でDXを推進するため、県庁でもリスキリングに力を入れている事例といえます。

 

参照リンク

 

リスキリングの助成金・補助金などの支援策

ここでは、リスキリングの助成金・補助金などの支援策を紹介します。

 

  • 厚生労働省「人材開発支援助成金」
  • 東京都「DXリスキリング助成金」
  • 東京都「オンラインスキルアップ助成金」

 

なお、今回は厚生労働省と東京都で提供されている助成金・補助金をピックアップしています。

 

これ以外にも、各地方自治体で提供されている助成金・補助金もありますので、「企業の所属する自治体名+助成金・補助金」で検索してみてください。

厚生労働省「人材開発支援助成金」

「人材開発支援助成金」は、職務に関連した専門知識を習得するための職業訓練など投資に対して支援する目的の助成金です。リスキリングを対象とする助成金として「事業展開等リスキリング支援コース」があります。

 

事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開をするにあたり新しいスキルや技術の習得する訓練に対する助成金です。またデジタル技術やDX、環境・カーボンニュートラルなどに関する人材育成も対象となります。

 

経費助成率の限度は大企業で75%、中小企業で60%です。1事業所当たりの1年度助成限度額は1億円となります。

 

詳しい条件や内容に関しては、下記の資料をご確認のうえ申請を検討してください。

 

事業展開等リスキリング支援コース

東京都「DXリスキリング助成金」

DXリスキリング助成金は、東京都が提供する中小企業向けの助成金です。中小企業もしくは個人事業主が対象で、都内に本社もしくは事業所がある場合に申請できます。

 

対象は自社内で行うDX関連の人材育成に関する訓練や、民間サービスやeラーニングなどで学ぶ訓練です。助成額は助成対象経費の3分の2まで、上限64万円となります。

 

詳しい応募条件や内容は、下記サイトをご確認ください。

 

東京都 DXリスキリング助成金

東京都「オンラインスキルアップ助成金」

オンラインスキルアップ助成金は、東京都が提供する中小企業向けの助成金です。中小企業もしくは事業協同組合・一般社団法人など団体が対象で、都内に本社もしくは事業所がある場合に申請できます。

 

対象は受講者の業務や職種で必要なスキル・資格の習得を目的とした、eラーニングなどを活用したオンライン訓練です。

 

助成額上限は小規模企業者27万円、そのほかの中小企業20万円、中小企業のうち、非正規雇用労働者が受講者全体の2割以上参加した場合は27万円となります。

 

詳しい応募条件や内容は、下記サイトをご確認ください。

 

東京都 オンラインスキルアップ助成金

個人がリスキリングすることのメリット

 

ここでは、個人がリスキリングするメリットを紹介します。

 

  • キャリアの選択肢が広がる
  • 転職市場の価値を向上させる
  • 業務の効率化ができる

キャリアの選択肢が広がる

リスキリングすることで、キャリアの選択肢が広がります。新しい職種にチャレンジするには、必要なスキルを新たに習得しなければいけません。

 

たとえば、プログラミングを学べばITエンジニアという選択肢が生まれます。また英語を習得すれば、海外で活躍できる職種へ再就職も可能です。

 

新しいスキルを身につけられると、キャリアチェンジもしやすいため、個人としてリスキリングに挑戦するメリットといえるでしょう。

転職市場の価値を向上させる

リスキリングに挑戦することで、転職市場の価値を高められます。転職市場では、過去の業務経験に加え資格やスキルも評価対象です。

 

リスキリングでプログラミングや英語、ビジネススキルなど新しいスキルを身につけることで、転職時に人材価値を高められます。

 

たとえば営業職であっても、ITスキルや英語などに精通していれば、他の営業職と差別化しスキルをアピールできるでしょう。また、AI・DXなど資格を取得しておけば、IT系営業職として転職も視野に入ります。

 

あくまで一例ですが、リスキリングでスキルを増やすことは、転職成功につながるメリットがあるのです。

業務の効率化ができる

リスキリングで新しいスキルを習得できれば、業務効率をアップできます。

 

たとえばAIや自動化システムなどを活用するスキルを身につければ、業務時間を短縮し新しい業務に時間を割くことができるでしょう。

 

また、プログラミングスキルを身につけ社内エンジニアになれば、社内システムを効率化し企業全体の業務効率をアップできるかもしれません。

 

業務効率アップにつながるスキルを選択すれば、自分の成果や企業の利益を高められます。

個人はリスキリングで何を学ぶべき?おすすめのスキル・資格

ここでは、個人で学ぶべきおすすめのスキル・資格を紹介します。

 

  • プログラミングなどのITスキル
  • 英語(英会話)
  • マーケティングスキル
  • AWS認定資格
  • DXに関する資格・検定

プログラミングなどのITスキル

リスキリングにおすすめのスキルに、プログラミングなどのITスキルがあります。

 

プログラミングスキルを身につければ、社内エンジニアとして活躍する選択も可能です。社内システムを開発できれば、社内全体の業務効率アップにも貢献できます。

 

また、直接業務に使用しない場合も、プログラミング学習で身につく論理的思考力は通常業務で活かせるスキルです。

 

そのほかプログラミングやITツールなどスキルを身につければ、市場価値が高まり転職でもアピールできます。

 

プログラミングを含むITスキルは、本やWebサイトを活用した独学のほか、プログラミングスクールで講師のサポートを受けながら学ぶ方法もおすすめです。

英語(英会話)

リスキリングで、英語を学ぶのもおすすめです。多くの人が挫折するなかビジネスで活かせるレベルの英語を習得できれば、社内で優位性を発揮し活躍できるでしょう。

 

海外への事業展開やサービス提供につながるなど、活躍の場を広げる意味でもメリットがあります。

 

英語を習得するには本やWebサービスなどで学習するほか、TOEIC・TOEFLなど英語系資格を取得するのもおすすめです。座学は本や資格学習で学び、実践はWebサイトなどで外国人との会話訓練で学ぶなど工夫すると良いでしょう。

マーケティングスキル

リスキリングにおすすめのスキルに、マーケティングスキルもあります。

 

マーケティングスキルは、企業が自社サービスや活動を外部に伝える際に必要です。とくにデジタルマーケティングスキルは需要が高まっており、SNS・Webサイト・動画などを活用できる人材は求められています。

 

マーケティングスキルを学ぶことで、顧客に魅力ある情報を伝える方法や利益につながる宣伝方法を習得可能です。

 

マーケティングスキルは本やWebサービスで学べますが、実践で使えるスキルを学ぶなら専門講座を開講するサービスや、セミナーなどに参加するのがおすすめです。

AWS認定資格

自社内でクラウド環境を導入する予定がある場合、AWS認定資格の取得もおすすめです。

 

AWS認定資格はAmazonの提供するクラウドサービスに関する資格で、サーバーやネットワークなどをクラウド化するスキルを学べます。

 

AWS認定資格を取得すれば、クラウドを活用したアプリケーション開発やインフラ開発で活躍可能です。また、エンジニアにならない場合でも、知識を活かしクライアントとコミュニケーションしやすくなるなどメリットがあります。

 

AWS認定資格の学習は本やWebサイト、プログラミングスクールなどで可能です。とくにプログラミングスクールであれば、資格対策に加えインフラ開発のスキルも学べるため、将来的にエンジニアを目指す人に向いています。

 

なお、本格的にエンジニアを目指したい人は「オープンアップITエンジニア」でスキルアップするのもおすすめです。オープンアップITエンジニアでは、AWS研修を含む研修制度が充実しています。なかにはパイロットからキャリアチェンジし、AWS認定資格を取得した人も。

 

スキルをしっかり身につけ、エンジニアとしてチャレンジしたい人はぜひオープンアップITエンジニアを検討してみてください。

 

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DXに関する資格・検定

リスキリングで、社内の業務効率アップにつながるDXに関する資格・検定を取得するのもおすすめです。

 

DXに関する資格や検定を取得することで、企業が実施するDX推進計画を理解し、積極的に活動できます。その結果、日常業務の効率化や利益アップも実現可能です。

 

また、資格取得に伴いDXを実施する知識が増えれば、自社内でのDX推進担当者になることもできます。DXに関する資格・検定の学習方法は、独学もしくはプログラミングスクールの受講が一般的です。

 

なお、DXに関する資格・検定は下記のとおりです。

 

 

どのDX関連資格も基本内容は似ており、DX基礎知識や推進方法、AI・IoTなど最新技術に関するスキルを学べます。

 

どの資格もDXに関する知識や、導入する最新IT技術について学べるため、運営元や受験のしやすさなどで選択すると良いでしょう。

リスキリングに関するその他の疑問

ここでは、リスキリングに関するその他の疑問にお答えします。

 

  • リスキリングにおすすめの講座は?無料のものはある?
  • リスキリングの課題は?
  • リスキリングを知るためにおすすめの本は?

リスキリングにおすすめの講座は?無料のものはある?

無料の講座もあります。たとえば、先ほど紹介した「日本リスキリングコンソーシアム」は無料で登録し、初級から上級まで一部講座を無料で利用可能です。

 

また、おすすめの講座は下記のとおりです。

 

講座名 学べるスキル 受講者属性
SAMURAI ENGINEER プログラミングスキル全般 個人/法人
Udemy Business/Udemy ・プログラミング

・マーケティング

・デザイン

・ビジネススキル など

個人/法人
Google Career Certificates Google データアナリティクス 個人/法人
Aidemy ・AI開発

・データ分析

・機械学習 など

個人/法人
Cloud Campus ・情報セキュリティ

・ビジネスマナー

・英語

・マネジメント など

法人

 

講座を選ぶ際、企業単位で受講するなら法人向けサービス、社員個人で利用するなら個人で利用できるサービスを選択すると良いでしょう。

 

また、サービスごとに用意されている講座の種類は異なるため、自社に必要な講座を選択してください。

リスキリングの課題は?

リスキリングの課題は、リスキリングを実施する環境が整っていない点です。「リスキリングとは」の資料では、リスキリングの課題を下記のとおり指摘しています。

 

  • 社員のスキル可視化が難しい
  • 実務レベルのスキルを学べるコンテンツがわかりづらい
  • リスキリングに抵抗のある人に対する対応

 

日本の場合、社員それぞれのスキルをテータとして蓄積する仕組みや、分析した経験のない企業も多く、リスキリングに必要な社員スキルの可視化が難しい実態があります。

 

また、スキルを確実に習得できるサービスがわかりにくい点や、抵抗のある社員に協力してもらう工夫なども課題です。

リスキリングを知るためにおすすめの本は?

リスキリングを学ぶなら、下記の本がおすすめです。

 

 

リスキリングの基礎的な意味から学習できる本もあれば、リスキリングの効果や社会的意義などを学べるビジネス本もあります。

 

これ以外にも本は多く発売されているため、自分の知りたい情報を学べる本を選択すると良いでしょう。

リスキリングを推進してDX時代に備えよう

今回は、リスキリングについて解説しました。リスキリングは時代の流れや求められるスキルに合わせ、新しいスキルを習得することです。

 

企業はリスキリングを実施することで、業務効率アップや人材不足の改善などのメリットがあります。

 

また、個人レベルでもキャリアの選択肢が増えたり、自分の市場価値を高めるなど多数のメリットがあります。

 

企業・社員ともにリスキリングを導入することで多くの恩恵を受けることができます。この記事を見て興味を持った方はぜひ導入を検討してみてください。

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニアAWSパートナー/Salesforce認定コンサルティングパートナー 認定企業
ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。

・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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