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人事評価制度の問題点と克服法|制度を実施する際のポイントも解説

その他 更新日:2023.02.24
エンジニア採用
人事評価制度の問題点と克服法|制度を実施する際のポイントも解説

人事評価制度とは

人事評価制度とは、人事評価における評価項目・評価基準・評価フローなどの仕組みを定め、従業員を評価し、報酬などに反映させるものです。

評価対象としては、成果を評価する「業績評価」、職務態度などの「情意評価」、スキルを評価する「能力評価」など、複数の観点から多面的に評価するのが一般的です。

人事評価制度の目的は、ただ社員を評価するだけではありません。人事評価制度は、処遇の根拠づけ、目標設定による人材マネジメント、スキルアップによる人材育成、配置転換などの人材活用などを目的としています。

しかし、人が人を評価することから、公正に評価されないことによる従業員の不満などの問題点も発生しやすく、導入においては、制度設計が重要となります。

人事評価制度を導入するメリット

人事評価制度を導入するメリットには、企業理念・ビジョンの浸透、従業員のモチベーションの向上、従業員のスキル管理、社内コミュニケーションの活性化の4つが挙げられます。

企業が大切にしているビジョンやミッションを評価項目に組み込むことは、従業員が企業理念に基づく具体的な行動を起こすことを促進します。

従業員にとって、公平で納得感のある評価をされることは、モチベーションの向上につながり、会社へのロイヤリティーを高めるという効果も期待できます。

また、定期的に統一された基準で人事評価を行うことで、組織全体が持つスキルや経験を一元的に把握できるようになります。最新の従業員のスキルを把握できていれば、従業員の適切な配置が可能となり、業績アップにつながる可能性があるからです。

さらに、上司から部下へのフィードバックはコミュニケーションの機会となるため、信頼感が醸成され、組織の強化にも繋がります。

人事評価制度の問題点8つ

人事評価制度は多くの企業で導入されていますが、「制度がうまく機能しない」「従業員のモチベーションアップにつながらない」といった問題点を抱えた企業が多いのも事実です。

人事評価制度がうまく機能していない企業には、制度そのものや運用の仕方に課題が見られます。ここでは、人事評価制度がうまく機能しないケースに共通してみられる、8つの問題点をご紹介しましょう。

1:評価基準が明確でない

人事評価制度がうまくいかない原因のひとつに、評価項目はあるが評価基準がない、点数付けの基準がはっきりしていないなど、評価基準が明確でないことが挙げられます。

例えば「協調性」という評価項目について評価基準がないと、頼んだ仕事に少し嫌な顔をしただけで「協調性なし」と評価されたり、一度でも協力すれば「協調性あり」と評価されたりするなど、評価者によるばらつきが出てしまいます。

また、「目標達成」という評価項目についても、「達成したからA」と評価する評価者がいる一方で、「達成はあたりまえだからB」と評価する評価者も出てしまうでしょう。

2:働き方改革に対応できていない

働き方改革の推進により、リモートワークを導入している企業も多くなってきています。リモートワークでは、目で見える仕事ぶりを評価できない、業務のプロセスを評価できない、といったことが、人事評価を行う上でネックとなることが想定されます。

リモートワークをする従業員が多い組織では、今までと同じ人事評価制度で公正に評価するのは難しくなると言えるでしょう。

3:人事評価制度に慣れていない

人事評価制度を運用していくためには、評価者が評価基準に基づき、人材の評価を行うことが不可欠です。

評価者が評価に慣れていなければ、適切な評価を行うことができず、従業員のモチベーションを上げるどころか、逆に下げてしまう可能性もあります。

人事評価制度を導入するのであれば、評価者に対して「人事評価に関する知識」を付与する機会を設け、研修などで指導の練習をする場を提供することをおすすめします。

4:評価者の性格や能力に左右される

人事評価制度では、人が人を評価するため、どうしても評価者の主観が評価に影響を与えてしまうことが多くなります。

しかしながら、評価者による評価のばらつきは、従業員の不公平感に繋がり、モチベーションを低下させてしまう可能性もあります。

また、評価者が評価スキルを身につけていないことによる影響も避けられません。

例えば、ある一部の特徴が印象的なため全体の評価に影響してしまったり、人間関係に配慮したため評価が甘くなってしまったりなど、自分のスキルと比較することで厳しく評価しすぎてしまうといったことが挙げられます。

5:目的が理解できていない

人事評価制度を導入する、そもそもの目的を理解できていなければ、従業員の不満に振り回されて本来の目的を達成できなくなってしまいます。

人事評価制度の本来の目的は、自社の戦略遂行に必要な人材像を明らかにし、社員を計画的・効率的に育てることにあります。公平・公正な評価と処遇をすることは、手段であって目的ではありません。

仮に、従業員全員が納得できる評価・処遇がなされたとしても、必要な人材が育っていなければ人事評価制度は機能しているとは言えません。

反対に、多くの従業員が不満を持っていたとしても、必要な人材が育っているのであれば、経営的な観点から見れば、機能していると言えます。

6:社員と企業側に一体感がない

人事評価制度の目的のひとつに、企業の目標と紐づいた項目を評価項目に組み込むことで、従業員全員が一つの目標を目指して取り組めるようになることが挙げられます。

しかし、人事評価制度の評価基準が、企業の目標とリンクしていないと、従業員が会社とは別のベクトルを目指してしまうことになります。

目指す方向が一致していなければ一体感が得られなくなり、結果として組織の生産性が低下するなど、マイナスの作用を起こしてしまう可能性もあるでしょう。

7:制度設計に問題がある

人事制度は、等級制度・人事評価制度・賃金制度の3つが中心となります。このうち人事評価制度は、昇格、昇給および賞与の決定など、等級制度や賃金制度とも関わる重要な部分となります。

人事評価制度の目的には、査定と人材育成という2つの面があり、人事評価制度の役割を査定のみにしてしまうと、人事評価制度はうまく機能しません。

人材育成の面を強化するために、評価の結果を育成につなげていくような仕掛けも、制度設計として必要となります。

8:評価が待遇に反映されない

人事評価制度は、従業員の昇格・昇進・報酬などの処遇を決める基準となるものです。人事評価により、従業員の貢献度を評価し、貢献に応じた処遇を行わないと、従業員の不満の原因となります。

人事評価が処遇に結びつかなければ、従業員のモチベーション低下につながり、企業の業績悪化の原因にもなりかねないでしょう。

人事評価制度の問題点を克服する方法5つ

人事評価制度の導入は、企業に数多くのメリットをもたらしますが、一方で運用に伴う問題点が発生し、デメリットを伴うケースも少なくありません。

人事評価制度を導入する際には、人事評価制度の導入に伴う問題点を理解し、影響の範囲を最小限に留めるなどの対策も必要です。

ここでは、人事評価制度の導入により発生する問題点をどのように克服したらよいかをご紹介します。

1:人事制度評価制度の目的を認識する

人事評価制度の目的は、自社の戦略遂行に必要な人材像を明らかにし、社員を計画的・効率的に育てることにあります。しかし、目的を明確に認識していないと、評価を行うこと自体が目的化してしまうことにつながります。

企業がどこを目指しているのか、そのためにどんな人材を評価するのかなど、人事評価の目的を企業全体で共有し、共通の目的に向かって取り組むことが重要です。

2:行動目標を明確にする

人事評価制度は、社員の貢献を業績向上につなげるために導入しますが、数字として目に見える業績だけを評価すると、評価される仕事しかしなくなる可能性があります。

そのため、業績評価だけでは評価しきれない「行動面」についても、行動目標を明確化した上で評価することをおすすめします。

行動評価が適しているものに、工場の生産ラインが挙げられます。チームのリーダーなどはチーム全体の成果が業績で評価できますが、生産ラインの一人ひとりの成果を明確にすることは難しいでしょう。

また、生産ライン以外でも、チームとして成果を出すためには、準備や協力なども不可欠な要素であるため、そういった行動面の評価も重要です。

3:成果目標を明確にする

人事評価制度の評価方法のひとつに目標管理制度(MBO)があります。目標管理制度は、会社の目標を組織の目標に落とし込み、そこから社員が自分自身で個人の目標を設定して目標達成を目指すマネジメント手法です。

人事評価制度において目標管理制度を導入し、社員自身の目標と会社の目標を関連付けることで、社員にとって納得度の高い目標の設定が可能になります。

さらに、納得度の高い目標を設定することで成果目標が明確になり、社員それぞれの取り組みが会社業績の向上につながっていくでしょう。

4:正当性のある評価を行う

人事評価制度で重要なポイントとして、評価者は私情を挟まず、客観的かつ公正に社員を評価するということが挙げられます。しかしながら、人間が人間を評価しますので、客観的に評価しているつもりでも、評価に偏りが出てしまうケースも多く見られます。

できるだけ公正に評価を行うために、評価者に対して評価者研修を行うようにしましょう。

また、評価者の評価結果を、さらに人事が点検する仕組みを導入し、会社全体として公正な評価ができる体制をつくることも重要なポイントです。

5:フィードバックを確実に行う

人事評価制度を通じて人材育成を行うためには、社員本人へ評価結果を適切にフィードバックすることが不可欠です。

フィードバックの際は、結果を伝えるだけでなく、具体的な事例を根拠とした評価の理由を伝えることで社員の納得度を高めましょう。

人事評価制度を実施する際のポイント5つ

ここまでは、人事評価制度の問題点や、問題点を克服する方法について紹介してきました。

続いて、人事評価制度を実施する際のポイントを見て行きましょう。人事評価制度導入や、人事評価制度見直しの参考にしてください。

1:評価の目的を明らかにする

人事評価制度を導入する際には、まず人事評価の目的を明らかにすることが重要です。人事評価制度により、組織をどのような状態にしたいのか、理想の状態を設定してください。

また、より具体的な目的として、昇進昇格の判断をするために行うのか、賞与の配分を決めるために行うのかなども明確にしておきます。

昇進昇格の判断に使うのであれば中長期的な評価の仕組みが必要ですし、賞与の配分を決めるのであれば、短期的な貢献度を評価する仕組みが必要です。

2:評価内容・項目を定める

人事評価制度は、従業員の処遇を決めるだけでなく、会社が従業員に何をどのレベルで求めているかを表すものでもあります。従業員が理解し、行動しやすいように、評価項目や評価基準を定めましょう。

なお、評価項目を企業の事業計画に合わせた内容にすることで、従業員が目標に向けて取り組みやすくなるため、高い効果が得られます。

3:評価の時期・回数を示す

人事評価制度を導入するのであれば、評価の時期や回数を決め、事前に従業員へ伝える必要があります。

人事評価には、評価期間と評価タイミングがありますので、いきなり評価からスタートすると従業員は戸惑います。そのため、評価期間の開始前までに周知しましょう。

また、新たに人事評価制度を導入する際には決算期に合わせてスタートすると、区切りがよいでしょう。例えば決算が3月の企業が年次評価を導入する場合、4月1日~3月31日を評価期間とし、評価日を1月1日とします。

1月~3月は見込み評価とし、変動があった場合は修正可能となるよう、制度設計しておいてもよいでしょう。

4:評価の実例を明らかにする

人事評価制度の評価方法には、すでに高い成果を上げている社員をモデルに、評価基準を定めるコンピテンシー評価という手法があります。

コンピテンシーモデルは、評価される従業員側から見た場合に、優秀な人と同じように行動をすれば高い評価を受けられるという指針になるため、何をすべきかが明確となり、行動しやすくなります。

5:評価方法を定める

一般的に、人事評価では、業績・能力・情意の3つで評価するので、それぞれにおいて、何をどのように評価するか、評価項目と評価基準を定めます。

「業績評価」では、売り上げ・契約数などの業績に基づき評価し、「能力評価」では、業務に必要な知識や技術に基づき評価し、そして「情意評価」では、熱意・積極性など、業務に対する姿勢に基づき評価します。

人事評価制度の問題点を洗い出し克服しよう

すでに人事評価制度を導入していて、成果が出ていないという方は、本記事で紹介した問題点を洗い出し、見直すことで克服の一助にしてください。

また、これから人事評価制度の導入を検討している場合は、人事評価制度を構築する際に、問題点を意識して構築することをおすすめします。

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニアAWSパートナー/Salesforce認定コンサルティングパートナー 認定企業
ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。

・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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