人事評価における目標設定のポイント7つ|進め方や具体例も解説
人事評価において目標設定をするメリット3つ
企業は何のために人事評価制度を導入しているのでしょうか。賃金を決めるだけでなく、人材育成や人材の適材適所の配置など、様々な目的のために利用されています。
目標に応じた成果をもとに評価を決定していく訳ですが、この人事評価目標設定についてのメリットを見ていきましょう。
1:個人の能力の向上を図る
決められた基準をもとにした人事評価制度を導入・運用することで社員は自らが達成するべき目標が明確となり、会社へのエンゲージメント(貢献度)が高まります。
打ち立てた目標を達成することで人事評価の基準をクリアすることが分かれば、社員は納得して業務を推進することができ、得られた成果は結果的に個人の能力向上に繋がります。
2:モチベーションアップに繋がる
目標を達成することが評価に繋がることが分かれば、社員は自ずと仕事に対するやる気が湧きます。また、目標を達成して正しい人事評価がなされることで、昇給・昇格していくことが明らかであれば、モチベーションアップの要因となります。
3:会社の生産性が上がる
人事評価制度は会社により異なりますが、会社の目指す方向性や会社が求める社員像が色濃く表れます。また、会社の業績アップや成長に繋がるものであることが重要です。
これらと設定した目標が同じベクトル上にあることは、最終的に会社の生産性向上に繋がると言えるでしょう。
人事評価の目標設定における2つの目標管理手法
人事評価の目標設定については、いくつかの代表的な目標管理手法があります。
ここではGoogleやFacebookなどが採用している目標管理手法「OKR」と、地方公務員や保育士などでも活用され広く知られる「KPI」についての特徴や違いを説明します。
OKR
OKRは英語で「Objectives and Key Results」の略称で、Objectives(目標)とKey Results(主要な成果)によって組織全体での生産性を向上させるために設定されます。
組織はまずObjectives(目標)に、大きくチャレンジングなテーマを設定します。原則として四半期に1つ設定します。高いObjectivesを掲げることで、従業員個々の挑戦を促すことができ、組織全体の業務効率や生産性のアップが期待できます。
また、社員は組織全体のObjectivesを理解した上で、個人のObjectivesを設定します。そのため、目指すべき目標が明確になるだけではなく、企業と従業員の目標がリンクするという特徴も持っています。
数値化しづらい定性的なObjectivesに対して、Key Results(主要な成果)は、状態を数値化できる定量的な性質を持ちます。
高いObjectivesから設定されるKey Resultのため60~70%の達成を目標として、業績評価や人事評価においては目標に向かって取り組むプロセスを参考とします。Key Resultsの達成度が、そのまま評価に影響しない点は大きな特徴といえるでしょう。
KPI
KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語で「重要業績評価指標」となります。KPIは、課題における「最終ゴール」に対して、プロセスの達成状況を定点観測するための指標です。
この指標は組織内でも営業や企画部門、または総務や経理といった事務方までそれぞれで設定されますが、指標のカタチは業種・業務によって異なります。例えばシステム開発のKPI設定例で考えてみると、進捗率・稼働率・生産性・エラー件数のような指標が挙げられます。
これら指標に対して、納期を守るためにいつまでにどのくらいの進捗率で開発を進める必要があるか、進捗を守るためにどのくらいの稼働率で業務を行うのか、といった中期でのマイルストーン設定がKPIにおける目標管理にあたります。
人事評価における目標設定・目標管理の進め方4つの手順
目標設定や管理については大きく4つの手順があります。生産や品質の分野で広く知られるPDCA(Plan・Do・Check・Action)といった手順が参考になりますが、この人事評価での目標設定や管理においても当てはまります。
1:目標設定をする
初めに、先述したKPIのように業務における最終ゴールを設定します。
次に、ゴールに向けた達成するべき項目・プロセスを細分化しマイルストーンを置き、何をいつまでにやるという計画を設定します。
このプロセスと最終ゴールの計画が、目標設定になります。
2:目標に基づいて業務を進める
目標設定が完了したら実際に業務を進めていきます。ただ業務を進めるだけでなく、マイルストーンに沿って業務が進んでいるか、達成するべき項目をクリアできているか定期的に計画の振り返りを行うことが必要です。
もしも計画に対して遅れが発生している場合は、計画の修正が必要になります。
3:評価・フィードバックする
目標の期日を迎えたら評価とフィードバックを行います。評価では、「目標が達成したかどうか」だけでなく、「どのくらい達成できたのか」という達成度合いを測ります。
フィードバックは達成度合いに準じた事実をもとに行います。「計画通りに実行できたか」「計画通りに行かなかった場合、その原因は何か」を考えコメントを残すことが、その後の改善に繋がります。
4:フィードバックに基づき改善する
フィードバックで得た気付きをもとに改善を行っていきます。ここでは成功や失敗の要因を分けることと、要因の取捨選択が大切です。
人事評価においては、社員は目標を達成できた場合の要因を明確にしておくことが大切です。目標未達成となった場合は客観的な目線でその要因を分析し改めてその課題・目標に取り組むのか、別の切り口で目標達成へとアプローチしていくのかを考え、次の計画を明確にします。
会社は、これら社員が実践してきたプロセスや達成度合いと成功・失敗の要因を受けて、評価を決定します。
人事評価における目標設定のポイント7つ
ここまでは人事評価のメリットや、その代表的な手法と進め方を説明しました。これらは後述する目標設定のポイントにおいて必要となり、各所にその要素が鏤められています。
会社と社員双方が納得しながら、7つの目標設定のポイントを守っていくことが大切です。
1:会社としての目標を周知する
どの会社にも経営目標がありますが、社員が会社の経営目標を必ず把握しているとは限りません。そのため、まずは会社の経営目標を社員に周知することが大切です。
ここにおける会社の目標は抽象的な内容ではなく、数値や期限を盛り込んだ定量的な内容にすることがポイントです。「3年間で売上を2倍にする」「5年間でコストを10%削減する」などが例となります。
2:チームや部門の目標を明確にする
チームや部門は会社の経営目標をもとにそれぞれの目標を設定します。営業や開発部門であれば、具体的な指標があるので目標設定は容易でありますが、部門によっては経営に直接関わる指標が持ちづらく目標設定が難しいこともあるでしょう。
その場合は経費の削減や業務の効率化といったアプローチや、あるいは関係部署や関係者からの評価を目標にすることも可能です。例えば、秘書なら役員からの評価、窓口業務なら顧客からの評価が一つの目標となります。
3:個人の役割・業務を明確にする
社員個人の役割・業務分担を明確にすることも大切です。チームや部門が持つ課題をもとにメンバー内で役割・業務分担を行います。基本的には管理職指導のもと行い、社員個人が何をするべきなのか理解できれば、個人レベルでの目標設定も容易になります。
4:具体的な目標を設定する
役割・業務分担まで完了した後、チーム・部門の目標を個人レベルまで落とし込みます。ここでは具体的な目標を設定することを心掛けます。人事評価目標設定サンプルなどの、記入例を用いて具体的で分かりやすい目標を設定できるように会社は準備しておきましょう。
例えば、部門としての目標がコスト削減なら、個人の課題としては、「業務を簡素化し原価低減を図る」「ペーパレス化を実現する」など具体的な目標を設定します。
5:個人に合ったレベルで設定する
具体的な目標設定では難易度をよく検討してから設定する必要があります。管理職主導のもと社員のスキルや能力に合わせて達成可能なレベルで設定します。
経験の浅い社員には比較的容易な目標設定をすること、中堅社員に関してはチャレンジングな目標を設定するなど、個人に合ったレベルでの設定を心掛けます。
6:目標達成のための方法を明確にする
個人の目標設定が完了したら、その目標を達成するまでの方法を洗い出します。
例えば「ペーパレス化を実現する」と一概にいっても多くのステップが必要となります。システムの導入、既存データの保存用サーバの確保、通信機器の更新や、またこれらに関わる予算の確保など、やるべきことは多岐に渡ります。
このように目標に対して何をしなければいけないかを明確にします。
7:時間・期間を明確に設定する
どんな企業にとっても時間は無限ではありません。目標には適切な時間・期限を設定し、達成度を測って振り返ることが大切です。
設定した目標に対し、達成するまでの方法に優先順位付けを行い、各ステップのタイムラインを決めます。ここでは具体的に、いつまでに・何を・どのように、を明確にしておくことで、その後の振り返りが容易になります。
人事評価におけるエンジニアの目標設定の具体例
人事評価における目標設定では、職種の特性に合わせた内容を設定する必要があります。企業の部門における目標設定は先述の内容でイメージできますが、エンジニアにおいてもその種類によってそれぞれ異なる目標の設定が必要となりますので、具体例をもとに見ていきましょう。
システムエンジニアの場合
技術職であるSE(システムエンジニア)でも、目標設定の手法は先述の通りです。具体的な目標を掲げ、それに対する方法やステップを明確にしていきます。また、専門性の高い職種であるため、会社の経営指標に沿って、長期的な目標を掲げることもできます。
例えば、生産性を向上させる目標としては「製品、システムの不良件数を〇件以下にする」、提案型の目標として「〇〇分野の学習を行い、部署内勉強会を開催する」などの目標があります。
フロントエンドエンジニアの場合
フロントエンドエンジニアは、ユーザーと直接データのやり取りを行う要素を担当し、Web制作ではWebサイトやサービスの実装を担います。
例えば経験の浅いエンジニアであれば、まずはスキルの習得を目的として目標設定を行います。「2年後にはフロントエンドエンジニアとしてデザイン側を担当する」「そのために、1年以内にJavaScript、PHPを習得する」などと長期的な目線からの目標設定をしていきます。
目標設定に応じた適切な人事評価を行おう
人事評価制度は、透明性・公平性が高く、会社と従業員間で納得できる基準でなければいけません。また長期的に運用でき、社会の変化にも対応できる柔軟性が必要です。
現代に合った人事評価システムを導入して、従業員満足度を高めることのできる仕組みとして活用しましょう。
この記事の監修者・著者
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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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