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AWSのConnectとは何か?システム構築への利点と欠点を解説

AWSエンジニア 更新日:2022.11.11
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AWSのConnectとは何か?システム構築への利点と欠点を解説

AWSのConnectとは何か?

AWSのConnectとは、クラウド上でコールセンターを作るためにAWSが提供しているプラットフォームです。 クラウド上で完結し、価格も安価で済むことや、リモートワーク対応で、オムニチャネルのカスタマーサービスの内容を包括しています。

 

また、様々なsolutionと接続が可能で、プログラムがわからなくても設定できます。電話対応以外の作業 (メールを送付など)が必要な顧客の対応についてはAmazon Connect Tasksでフォローが可能なので、一貫したサービスが提供できます。

AWSのConnectのビジネスモデル3選

AWS Connectのビジネスモデルは大きく分けて3つあります。

 

まず、通話など使用した時間に応じた課金システムなので、従来のコールセンターで使用しているPBXや電話回線などの機器の使用料を気にせず使えます。

 

一斉着信が鳴ると混雑して対応できない問題もありますが、クラウド上でサービスが完結するので、システム拡張も簡単です。また、コンタクトセンターを設置するのに必要なシステムもクラウド上で作れます。

1:通話時間に応じた課金システム

コールセンターを運営するには固定費が莫大になりますが、AWS Connectは通話時間や通信量に応じた課金システムでランニングコストのみで運営できます。

 

日本ではエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社野村総合研究所、株式会社ウフルなどがAWS Connectパートナーとして、アジアパシフィックのリージョンで対応しています。

2:混雑具合に応じてのシステム拡張

AWS Connectはすべてコールセンターの機能をクラウド上で構築するので、システム拡張はわかりやすく簡単に行えます。

 

AWS Connectにログイン、Connectで設定を実行し、AWS Lambdaで拡張するシステムの関数を設定することで、拡張はスムーズに行えます。

3:コールセンターで必要なシステムを画面上で作れる

AWS Connectは、コールセンターで必要なシステムは、すべてクラウド上で作れます。電話機や転送機能、留守録機能、接続切替など高額な機械のリース料や契約料を支払うことなくコールセンターを運営できます。

 

後ほど紹介する、コールセンターに必要だったシステム7つ(音声認識、通話録音、リアルタイムレポート、ヒストリカルレポート、CTI、PBX、IVR)の機能は、AWSに包括しているので、クラウド上でコールセンターを作れます。

AWSのConnectを利用する利点4つ

AWS Connectとは何かということと、AWS Connectのビジネスモデル3選をお伝えしました。

 

次からはAWS Connectを使用する利点、 欠点をそれぞれお伝えします。

1:コストの削減ができる

AWS Connectを使用する利点、1つ目は「コストの削減ができる」ことです。

 

コールセンターの立ち上げには、事務所、事務用品、電話機、交換機、通信環境を整えたり、様々な準備が必要です。特にCTI、PBX、IVRなどはオンプレ型で立ち上げるとクラウド型より高額になります。

 

AWS Connectではそのような準備が不要なため、初期費用はかかりません。

2:設定や変更が簡単に行える

AWS Connectを使用する利点、2つ目は「設定や変更が簡単に行える」ことです。

 

AWSのクラウド上に設定するため、設定や変更もクラウド上で完結するので簡単です。AWS Lambdaではプログラムを動かすサーバーなどが不要なため、必要なプログラムを開発することですぐ設定できます。

 

ソフトフォン(パソコン上で通話を受ける専用ソフト)をインストールした後は、インターネットの回線があれば使用できます。

3:セキュリティの耐障害性と拡張性が増した

AWS Connectを使用する利点、3つ目は「セキュリティの耐障害性と拡張性が増した」ことです。

 

AWS Connectは世界中でサービスを提供しているので、データセンターを世界各地に保有しています。データセンターにつきましては、region、アベイラビリティゾーンと呼ばれる単位で分割して管理されています。

 

各リージョン間は分離しているため、1か所で障害が発生してもほかのリージョンには影響が出ない仕組みになっています。

4:オープンプラットフォーム

AWS Connectを使用する利点、4つ目はAWSが「オープンプラットフォーム」であることです。

 

AWSの中にも様々なサービスが提供されていますが、ほかのメーカーの製品やサービスと連携できます。

 

CRMを始め、AWSがパートナー契約を締結している企業はAWS Connectのページに記載されているので、必要なものを比較、検討しても良いでしょう。

AWSのConnectを利用した際の欠点

AWS Connectを使用する際の利点を4点お伝えしました。すべてのサービスは良いことづくめではなく、もちろん欠点もあります。

 

次はAWS Connectを使用する際の欠点を2点お伝えします。

1:音声品質は良くない

AWS Connectを使用する際の欠点、1つ目は「音声品質は良くない」ことです。

 

コールセンターでお客様と通話する際は、一般の電話回線を使用しているので音声品質は保証されています。

 

しかし、AWS Connectはインターネット回線を使用しパソコン上で通話するので、インターネット回線の通信速度やパソコンの設定により、音声の乱れや遅延が生じることがあります。

2:既存の電話番号へは移行できない

AWS Connectを使用する際の欠点、2つ目は「既存の電話番号へは移行できない」ことです。

 

すでにコールセンターが存在しており、移行する場合は、新規で番号を取得する必要があります。取得できる電話番号は「050」のIP電話、「0120」「0800」のフリーダイヤル、固定電話だとAWSのデータセンターがある東京の「03」の4種類のみと限られております。

 

出典:アジアパシフィック (東京) リージョンで Amazon Connect の電話番号を申請する|AWS
参照:https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/connect-tokyo-region.html

AWSのConnectでのシステム連携について5つ

AWS Connectとは何か、AWS Connectのビジネスモデル、AWS Connectを使用する際の利点、欠点をお伝えしました。

 

ここからは、AWS Connectでどのようなシステム連携ができるのかを5つ紹介します。

1:AWS Lambda機能との連携ができる

AWS Connectで実行可能なシステム連携の1つ目は「AWS Lambdaとの連携ができる」です。

 

AWS Lambdaでは実行するプログラムを開発し、Lambdaに書き込むと実行ができます。通常はサーバーを契約したり、実行環境を整える必要がありますが、Lambdaでは不要です。必要なプログラムを開発するだけですぐ使えます。

2:CRMとの連携ができる

AWS Connectで実行可能なシステム連携の2つ目は「CRMとの連携ができる」です。

 

AWS Connectではパートナー企業と連携できます。CRMの連携パートナーとして、AWS Connectでは6社が連携可能です。

3:通話の録音が可能

AWS Connectで実行可能なシステム連携の3つ目は、「通話の録音が可能」です。

 

AWS Connectでは、通話でやり取りをする際の通話録音はAWSサービス上にあるAmazon S3というサービスに保存することが可能です。

 

AWS ConnectのコンタクトフローにSet recording behaviorブロックを設定します。録音されたデータはメニューからメトリクスおよび品質を選び、問い合わせの検索を選択してチェックできます。

4:テキストの読み上げができる

AWS Connectで実行可能なシステム連携の4つ目は、「テキストの読み上げができる」です。

 

AWSのサービスの中に、Amazon Pollyという文章を人間の音声に近づけて変換するサービスがあります。生成した音声は保存・再配信が可能で、追加料金はかからず無制限に使用できます。

 

テキストを読み上げて音声を保存することで何度も利用でき、コストを抑えて運用できます。

5:ストリーミング

AWS Connectで実行可能なシステム連携の5つ目は、「ストリーミング」です。

 

AWS Connectにはストリーミング機能も付いております。録音された通話記録は、AWSで提供されているサービスである、Amazon kinesis data streamsやAmazon kiinesis data firehoseを使い、データを収集し対応できます。

AWSのConnectの構築方法の6つの手順

これまでは、AWS Connectとは何か、ビジネスモデル、使用する利点、欠点、AWS Connectでどのようなシステム連携ができるのかを紹介しました。

 

ここからは、AWS Connectの構築方法の手順を6つに分けてお伝えします。

1:インスタンスの作成をする

AWS Connectを使用する際に、最初に行うことはインスタンスを作成することです。

 

AWSの管理画面にログインをした後は、右上のリージョン名を選択し、アジアパシフィック(東京)を選択します。AWSのサービスを検索する画面で、「Connect」を入力します。Amazon Connectのページを開き「今すぐ始める」をクリックします。

 

いったんは何も設定せずに「次のステップ」をクリックしページの遷移を続けて、最後に「インスタンスの作成」をクリックして「成功!」の文字が表示されたら完了です。

2:Amazon Connectの初期設定をする

続いて行うことはAWS Connectの初期設定です。

 

インスタンスを作成する際は、デフォルトの設定しか行っていないため、管理者の設定や管理権限のチェック、および共有設定をします。詳しい設定方法は公式サイトにも記載されているので参考にしてください。

3:営業時間の設定をする

AWS Connectの初期設定が終わったら、次は営業時間を設定します。

 

営業時間を設定することで、営業時間内の着信は電話して、営業時間外の着信はフローへ転送します。時間により転送先が変わります。

4:お問い合わせフローの設定をする

次に、お問い合わせフローを設定します。

 

営業時間を設定することで、キューなどの設定がいつ利用可能であるかを定義できます。

 

お問い合わせフローの設定は、ダッシュボードの中にあるルーティングを選択して、問い合わせフローをクリックしましょう。左側にある項目をドラッグアンドドロップで右側に移動して配置します。

5:電話番号の取得をする

次に行うのは電話番号の取得です。

 

すでに既存のコールセンターがあり電話番号がある場合は、移行できます。オペレーターの増員やシステムを拡張する場合は、新たに電話番号をAWS Connectで取得する必要があります。

6:転送先表示番号の設定をする

次に転送先表示番号を設定します。

 

AWS Connectのダッシュボードにある、問い合わせフローおよびキューにて、様々な条件を設定できます。対応できるスタッフがいない場合の不在の対応や、営業時間外の着信に対する転送など、フローを設定することで細かい条件を指定できます。

コールセンターに必要だったシステム7つ

これまでは、AWS Connectとは何か、AWS Connectを利用する上での利点と欠点、AWS Connectで可能なシステム連携について、AWS Connectの構築方法についてそれぞれお伝えしました。

 

ここからは、従来のコールセンターに必要だったシステムを7つ紹介します。

1:音声認識

コールセンターに必要だったシステムの1つ目は「音声認識」です。通話を録音して、音声認識したものをテキスト化することで、同じ問い合わせ内容の回答内容を均一化できます。

 

また、同じ顧客からの問い合わせをCRMデータに連携することもでき、問い合わせ内容をチェックしながら案内できます。そのため、オペレーターの応対品質を一定に保ち、同じ案内ができます。

2:通話録音

コールセンターに必要だったシステム2つ目は「通話録音」です。 コールセンターが通話録音するのは、様々な理由があります。まずは、顧客の会話を聞き逃さないようにすることです。

 

クレームを受けた際のトラブル対応や、クレーマー対策では録音された会話の内容はとても大事です。クレーム対応でも重要ですが、オペレーターのコンプライアンスの管理の観点でも通話の録音は有効です。

 

次は、案内した内容を録音して確認することで、オペレーターの対応をチェックし、一定の品質を保ち、管理できる点も挙げられます。

3:リアルタイムレポート

コールセンターに必要だったシステムの3つ目は「リアルタイムレポート」です。

 

コールセンターでは業務効率や応対状況はKPI(重要業績評価指標)として管理しているところが増えています。そのため各オペレーターの業務効率、お客様への応対状況を把握するためにはリアルタイムレポートが必要です。

 

リアルタイムレポートがあることで、通話状況や待ち時間などを表示し、どの時間にオペレーターを増員すべきか判断する材料になります。

4:ヒストリカルレポート

コールセンターに必要だったシステムの4つ目は「ヒストリカルレポート」です。

 

ヒストリカルレポートは、リアルタイムレポートとは異なり、全体やオペレーターのそれぞれの稼働状況をリアルタイムレポートよりは長い時間をかけて集計します。

 

集計単位は、日単位、週単位などで行います。コールセンター全体で設定した目標に到達しているのか、問題があるのかを把握します。

5:CTI

コールセンターに必要だったシステムの5つ目は「CTI」です。

 

CTIとは、Computer Telephony Integrationの頭文字をとったものです。CTIにはクラウド型とオンプレ型があります。CTIの機能には電話番号をもとに顧客情報を表示するポップアップ機能や、CRM連携、通話録音機能などがあります。

6:PBX

コールセンターに必要だったシステムの6つ目は「PBX」です。

 

PBXは電話回線の交換機のことです。コールセンター内やオフィスの指定された場所に設置しています。

 

PBXを導入すると、発信・着信を制御したり、内線同士で通話をしたりできます。ほかにもダイヤルイン機能や代表番号着信機能、転送機能などが使えます。

7:IVR

コールセンターに必要だったシステムの7つ目は「IVR」です。

 

IVRとは自動音声応答システムのことです。着信があると、IVRが自動応答をはじめて音声ガイダンスを開始します。

 

顧客は音声ガイダンスに従ってプッシュ番号操作します。そうすると担当部署に電話を転送したり、回答内容を自動応答で流す対応をします。1番を押してください、2番を押してくださいというガイダンス機能を使うときには、必要なシステムです。

AWSのConnectについて理解してシステム開発に役立てよう

ここまで、AWS Connectとは何か、使用するにあたっての利点、欠点を始め、連携できるシステムや、構築方法についてお伝えしました。

 

AWS ConnectはAWS上の様々なサービスと併せて利用でき、従来のコールセンターの必要なシステムも包括してクラウド上で構築できます。

 

プログラムがわからなくても、AWSの管理画面を操作しながらシステムを構築できます。通信料も安価で始められるので、まずはテストを実施しながら、AWS Connectのシステムを理解して、システム開発に役立てましょう。

この記事の監修者・著者

株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニアAWSパートナー/Salesforce認定コンサルティングパートナー 認定企業
ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。

・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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