AWSのEC2インスタンスタイプについて|それぞれの解説と用途別の選定


AWSとはなにか
AWSとはAmazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスの総称です。さまざまなクラウドサービスの中でも知名度やシェアの高いサービスで、約100万人以上のユーザーが利用しています。
また、AWSにはコンピューティングやストレージ、データベースなどのインフラや、AIや機械学習、IoTなどのテクノロジーなど約200種類以上のクラウドサービスが用意されており、世界中にあるデータセンターからサービスを提供しています。
EC2とはなにか
Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)とは、AWSが提供する仮想サーバー構築サービスです。AWSクラウド内で高い柔軟性やセキュリティ、スケーラビリティなどを提供するクラウドサービスとなっています。
Amazon EC2を利用することにより、AWSクラウド上に仮想環境をスピーディに構築できます。
AWSのEC2インスタンスタイプについて4つ
Amazon EC2ではあらゆるユーザーに対応するためにさまざまなユースケースに対応したCPUやメモリ、ストレージ、ネットワークキャパシティを用意しています。
これらの組み合わせは「m5a.large」のような書式のインスタンスタイプとしてあらかじめセットが用意されており、ユーザー自身で適切なインスタンスタイプを選択できます。
ここではAWSのEC2インスタンスタイプについて4つを紹介します。どのような構成になっているのか参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:インスタンスファミリーとは
インスタンスファミリーとは、インスタンスタイプが「m5a.large」の場合、先頭部分の「m」になります。
インスタンスファミリーは「汎用」「コンピューティング最適化」「メモリ最適化」「ストレージ最適化」「高速コンピューティング」の5種類があり、それぞれ特徴が異なります。
たとえば基本的なタイプである「汎用」の場合、インスタンスファミリーは「tシリーズ」や「m5」「m6」「a1」などです。
2:インスタンス世代とは
インスタンス世代とは、インスタンスタイプが「m5a.large」の場合「5」の部分になります。インスタンス世代は数字が大きいほど新しい世代となるため、たとえば「m5」と「m4」であれば前者の方が新しい世代になります。
基本的に新しい世代になるほど性能が高く、価格も安価になっていくという傾向があります。
3:追加機能とは
追加機能とは、インスタンスタイプが「m5a.large」の場合「a」の部分になります。追加機能はないタイプもありますが、CPUをIntel製からAMD製やAWS Graviton製に変更したり、ネットワークを強化するなどの変更が行われた場合には追加機能が記載されます。
たとえばCPUをAMD製に変更した場合、追加機能は「a」、メモリ搭載量を強化した場合追加機能は「e」になります。
4:インスタンスサイズとは
インスタンスサイズとは、インスタンスタイプが「m5a.large」の場合、最後の「large」の部分になります。インスタンスサイズには複数のサイズが用意されており、「nano」「micro」「medium」「small」「large」「xlarge」「2xlarge」のようにサイズが大きくなっていきます。
たとえば「m5a」の場合、「large」以降のインスタンスサイズから選択可能です。
AWS運用の用途別で選ぶ7つのEC2インスタンスタイプ
AWSのEC2にはさまざまなインスタンスタイプが用意されているため、ユースケースに応じて最適なインスタンスタイプを選択できます。しかしはじめて利用する場合、どのインスタンスタイプを選べばいいのかわからないという方も多いでしょう。
ここではAWS運用の用途別で選ぶ7つのEC2インスタンスタイプを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
1:互換性などの様子を見る場合
まずはEC2のサービスを使ってデータベースやアプリケーションを動かし、様子見をしたい場合には「M5」や「T3」がおすすめです。「T3」はスペックは低いですが、費用も他のインスタンスタイプを比べて安いです。
「T3」と「M5」には互換性があるため、まずは「T3」を導入してみて、スペックを上げたい場合には途中から「M5」に変更することも可能です。
2:簡単に試運転をする場合
EC2を簡単に試運転したい場合には「T2」がおすすめです。「T2」の中でも「t2.micro」は条件によって無料利用枠で利用できるため、お試しでEC2を利用してみたい場合に適しています。
ただし、「Unlimited」を有効にすると費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
3:CassandraやMongoDBなどのNoSQLデータベースを運用したい場合
CassandraやMongoDBなどのNoSQLデータベースを運用したい場合には「I3」がおすすめです。「I3」はストレージに対して高いIOPS性能を持つインスタンスタイプです。
「IOPS」とはストレージが1秒あたりに処理できるI/Oアクセス数のことで、IOPSが高いほど高性能になります。また、「I3」はデータウェアハウジングにも適しています。
4:mySQLやOracleなどのリレーショナルデータベースを運用したい場合
mySQLやOracleなどのリレーショナルデータベースを運用したい場合には「R6g」や「R5」がおすすめです。
「R6g」や「R5」は大きいデータセットの処理に適したインスタンスファミリーであるため、リレーショナルデータベースの多くのテーブルの中からデータをselectするといった処理を行いたい場合におすすめです。
5:CPUベースの機械学習の運用をしたい場合
CPUベースの機械学習の運用を行いたい場合には「P3」や「C6g」、「C5」がおすすめです。機械学習を目的とする場合は、GPUインスタンスがおすすめの「P3」を利用すると良いでしょう。
また、CPUベースでの機械学習であれば「C6g」や「C5」がおすすめです。
6:CPU の高パフォーマンスが必要なゲームや広告配信を運用をしたい場合
CPUの高パフォーマンスが必要なゲーム、広告配信を行いたい場合には「C6g」や「C5」がおすすめです。CPUベースでの機械学習でもご紹介した「C6g」や「C5」は、非常に高パフォーマンスなインスタンスファミリーです。
そのため、高速処理が必要なゲーム配信や広告配信に適しています。
7:SAP を運用したい場合
SAPを運用したい場合には「X1」がおすすめです。「X1」はSAPから認定を受けており、「Business Warehouse on HANA (BW)」「Data Mart Solutions on HANA」「Business Suite on HANA (SoH)」「Business Suite S/4HANA」を実行できます。
また、ビッグデータ処理エンジンとしても利用できます。
EC2インスタンスタイプの費用
EC2のインスタンスタイプごとにどのくらいの費用が掛かるのか知りたい方も多いでしょう。ここでは、EC2インスタンスタイプのlargeの中でも費用が安いものをピックアップしました。
月額目安はLinuxを使い、東京リージョンでオンデマンドで1ヶ月常時稼働した場合の料金となっています。
家族 | a1 | c6g | t4g | c5a |
---|---|---|---|---|
月額目安 | $46 | $62 | $62 | $69 |
vCPU | 2 | 2 | 2 | 2 |
CPUarch | アーム64 | アーム64 | アーム64 | x86_64 |
CPUクロック(GHz) | 2.3 | 2.5 | 2.5 | 3.3 |
メモリ(GB) | 4 | 4 | 8 | 410 |
最大NW帯域幅(Gbps) | 10 | 10 | 5 | |
NVMe SSD | – | – | – | – |
運用中にEC2インスタンスタイプを変更する場合
AWSの運用を開始してからインスタンスタイプを変更したくなった場合には、インスタンスサイズの変更を行う以外に、ファミリータイプを変更する方法があります。
インスタンスサイズの変更は簡単な方法ですが、小さなインスタンスサイズでもスペックが高すぎたり、大きいサイズでもスペックが足りなかったりする場合は対応できません。
一方、ファミリータイプを最新に変更する場合は大きな費用変更をせずにスペックアップできますが、起動する際にモジュールのインストールなどを行わなければいけないケースがあります。
また、別のファミリータイプに変更する場合はインスタンスサイズの変更よりも高性能にすることも可能ですが、同じく起動する際にモジュールのインストールを行わなければいけない場合があります。
EC2を停止する際に気を付けるべきインスタンスタイプ
運用を開始してからインスタンスタイプを変更する場合、一度EC2を停止させる必要があります。しかし停止することで、インスタンスに影響を与えてしまうケースもあります。
ここではEC2を停止する際に気を付けるべきインスタンスタイプを紹介します。
クレジット機能のあるT2とT3
T2、T3インスタンスはCPU稼働率が閾値以下の場合にクレジットを貯める仕組みになっており、負荷が掛かった場合は貯めたクレジットによって性能以上の処理ができる仕組みになっています。
このようなTシリーズを停止させた場合、クレジットがリセットされてしまうため注意が必要です。
インスタンスストアが使用できるインスタンスタイプ
EC2はインスタンスタイプによって、保存先がインスタンスストアのものとEBSのものとにわかれています。インスタンスストアを使用できるインスタンスタイプを停止させた場合、データが消えてしまうため注意が必要です。
インスタンスタイプ選びで知っておくべきEBS最適化とは
EBS最適化とは、インスタンスとEBSを接続しているネットワークを他のネットワークと切り分けて専用のものにすることです。EC2インスタンスの中にはデフォルトでEBS最適化が行われているものもあるため、インスタンスタイプ選びの参考にしましょう。
AWSのEC2インスタンスタイプについて理解を深めよう
EC2のインスタンスタイプは、あらゆるユースケースにマッチするようにさまざまな種類が用意されています。
ぜひ本記事で紹介したEC2インスタンスタイプの概要やAWS運用の用途別のEC2インスタンスタイプなどを参考に、目的にマッチしたインスタンスタイプを選択できるようにしましょう。
AWSのEC2インスタンスタイプを活用できるAWSエンジニアの派遣を検討しよう!
ここまでAWSのEC2インスタンスタイプについて解説してきました。AWSはこれからますます需要が高まる技術、サービスです。AWSの技術を扱える認定資格保有のエンジニアの採用は今現時点で非常に難しく、それが原因でAWSの導入が進まない企業様も多いです。当社オープンアップITエンジニアは、AWS認定パートナーでAMAZON様よりライジングスター賞を受賞しております。AWSの認定資格保有者も1000名を超えておりますので、うちでもAWSエンジニアを派遣可能です。是非一度オープンアップITエンジニアのAWSエンジニア派遣サービスについて覗いてみてください。
この記事の監修者・著者

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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが4,715名在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1,154名(2024年6月現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者276名在籍(2024年5月現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2024年6月時点)
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