派遣会社のマージン率とは?マージン率の計算式や使い道についても紹介
マージン率とはなにか
派遣会社のマージン率とは、派遣社員を雇用する際に掛かる費用及び営業利益が含まれたものです。マージン率の水準は、およそ3割強だと言われています。
マージン率の主な内訳は、社会保険料や労働保険料が多く、次に、営業利益や福利厚生費、教育訓練費となっています。
マージン率は、2021年4月に労働者派遣法が改正されたことで、今後インターネット上で開示していくことが義務付けられることになりました。
参照:労働者派遣事業関係業務取扱要領|厚生労働省
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000763204.pdf
マージン率の相場について
マージン率は、業種や職種によって平均値が異なりますが、全体的な平均値は30.4%だと厚生労働省の調べで公表されています。この平均値から、業種や職種によってマージン率が上下します。
一般的に、IT関係は平均値から約10%ほど高く、サービス業や事務は数%ほど低めに設定されており、建設現場などを管理する施工管理では、最高で約10%ほど平均値から下回っています。
しかし、マージン率が高いほど派遣会社が多く利益を取っているわけではなく、派遣社員のための保険料や福利厚生にも使われているため、決して悪いことではありません。
出典:マージン率等の情報提供について|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000634367.pdf
マージン率を求める計算式
マージン率には、決まった算出方法があります。
派遣料金の平均(派遣先が派遣会社へ支払う)から賃金の平均(派遣会社が労働者に支払う)を引いたものを派遣料金の平均と割り、100を掛けます。そうして出た数字がマージン率です。
計算後、小数点第一位未満の端数が出た場合は、四捨五入をします。
派遣会社におけるマージンの使い道5つ
派遣会社がマージンを取る理由や使い道はきちんとあります。必ずしも、利益のみを出すために取っているわけではありません。マージンの中には、派遣社員の教育費や生活を守るための重要な費用も含まれています。
ここでは、派遣会社の代表的なマージンの使い道を5つご紹介します。
1:派遣社員に関わる諸経費
1つ目の使い道は、派遣社員に関わる諸経費です。
例えば、派遣社員の担当者やコーディネーターの人件費、オフィス利用料や募集費用が諸経費に含まれます。一般社団法人の日本人材派遣協会によると、派遣会社の諸経費は平均で、13.7%ほど含まれているようです。
諸経費の中でも特に重要な項目は、派遣社員の福利厚生サービスの拡張や派遣社員のスキル・資格などの研修費用です。
出典:賃金・社会保障|一般社団法人 日本人材派遣協会
参照:https://www.jassa.or.jp/keywords/index3.html
派遣社員の福利厚生サービスの拡張
諸経費には、派遣社員の福利厚生サービスの拡張も含まれています。
例えば、社会保険料や労働保険料 、その他福利厚生費などがこの項目に含まれます。
2018年の厚生労働省の調べでは、全体のマージン率の平均(30.4%)の中で11.4%が社会保険料や労働保険料、福利厚生費は3.4%だと公表されています。
出典:マージン率等の情報提供について|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000634367.pdf
派遣社員のスキル・資格などの研修費用
派遣社員のスキル・資格などの研修費用も諸経費に含まれています。
例えば、派遣社員の研修やeラーニングなどの費用がこの項目に該当します。また、その他資格も研修費用に含まれるので、教育訓練や資格取得が多かったり可能な派遣会社ほど、マージンに含まれる研修費用が高くなる可能性があります。
2:有給休暇の費用
2つ目の使い道は、有給休暇の費用です。
一般社団法人の日本人材派遣協会の調べでは、派遣料金の全体の4.2%が充てられていると公表されています。ただし、有給休暇取得の際には、派遣先が提供するのではなく、派遣会社が賃金を支払う仕組みとなっています。
出典:賃金・社会保障|一般社団法人 日本人材派遣協会
参照:https://www.jassa.or.jp/keywords/index3.html
3:求人広告の宣伝費用
3つ目の使い道は、派遣会社が出す求人広告の宣伝費用です。
基本的に、派遣社員を募集する際の宣伝費用は、マージンから出されます。そのため、マージン率が高いほど宣伝に力を入れていることもあるでしょう。
4:派遣会社の事業運営費
4つ目の使い道は、派遣会社自体の事業運営費です。
当たり前ですが、派遣会社も事業を運営する費用が無ければ、運営が困難になってしまい、人材を提供することができなくなってしまいます。派遣会社の運営が困難になってしまうと、自社で雇用した派遣社員の損失にも繋がりかねないので、事業運営費は重要視しておきましょう。
5:派遣会社の利益
5つ目の使い道は、派遣会社の利益です。
2018年の厚生労働省の調べでは、30.4%の平均のマージン率に対して、5.9%の営業利益が含まれていることが公表されています。目安としては、6%前後が営業利益に充てられているようです。
ただし、これらの数字は数多くある派遣会社から割り出された平均に過ぎず、会社によって最終的な営業利益はさらに異なります。
出典:マージン率等の情報提供について|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000634367.pdf
マージン率の高さと最終営業利益について
マージン率が高いからと言って、全てが派遣会社の営業利益に繋がっているわけではありません。一般社団法人の日本人材派遣協会によると、派遣会社の平均的な営業利益は1.2%ほどだと言われています。
厚生労働省の調査によって公表された平均的なマージン率の30.4%と比較すると、基本的に、派遣会社の営業利益率はかなり低いことが分かります。
そのため、多くの派遣会社は、可能な限り多くの派遣社員を雇って利益を出している状態だと言えるでしょう。
出典:賃金・社会保障|一般社団法人 日本人材派遣協会
参照:https://www.jassa.or.jp/keywords/index3.html
派遣会社が利益率に関係なく増えていく理由
現在、日本では利益率に関係なく派遣会社が増えていると言われています。
その理由の1つに、企業側が派遣社員を求めていることがあります。ここ数年、多くの日本の会社は、雇用費や人件費・正社員に掛かる教育費などを極力削減するために、元々スキルのある派遣や契約社員を雇うようになりました。
もちろん、派遣社員も、教育費や福利厚生費などは掛かりますが、一から1人の社員を育てるよりも大幅にコストの負担が軽減できるのです。多くの会社ではこのようなニーズがあるため、自然と派遣会社も増えているようです。
派遣会社をマージン率のみの理由で選んでもよいか
派遣会社のマージン率は、ピンハネとも呼ばれ、あまり良い印象がありません。ですが、マージンの中には、派遣社員をさらに優れた人材へ育てる教育費用や、派遣社員が派遣会社を信頼し働き続けられる福利厚生に掛かる費用など、とても重要な要素が含まれています。
そのため、低いマージン率の派遣会社を選んで人を雇用したとしても、サポートの少なさから派遣社員が不満を持ちすぐに辞めてしまう可能性も否めません。
会社でのコスト削減を目指すとしても、マージン率まで低い会社を選ぶことはおすすめしません。
マージン率について理解を深めよう
マージン率には、派遣社員をより良い人材に育てたり、働き続けてもらうために派遣社員の健康や生活を守る重要な費用も含まれています。マージン率が高ければピンハネされているとは一概に言い切れません。
派遣社員を雇用し、長期で働き続けてほしいのであれば、マージン率について十分理解を深めてから雇用を検討しましょう。
この記事の監修者・著者
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ITエンジニア派遣サービス事業を行っています。AWSやSalesforceなど専門領域に特化したITエンジニアが3,000名以上在籍し、常時100名以上のITエンジニアの即日派遣が可能です。
・2021年:AWS Japan Certification Award 2020 ライジングスター of the Year 受賞
・2022年3月:人材サービス型 AWSパートナー認定
・AWS認定資格保有者数1257名(2023年7月3日現在)
・Salesforce認定コンサルティングパートナー
・Salesforce認定資格者295名在籍(2023年7月3日現在)
・LPIC+CCNA 認定資格者:472 名(2022年4月1日時点)
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