大成建設株式会社様
品質管理や生産性向上につながるICTツール利活用を支援
現場が利便性を実感することがICT定着への第一歩

「人がいきいきとする環境を創造する」という理念を掲げ、日本の建設業界のリーディングカンパニーとして知られる大成建設株式会社。本州四国連絡橋や青函トンネル、東京都第一本庁舎など、さまざまなプロジェクトを手掛けています。
今回お話をお伺いする土木部はトンネルや橋梁、上下水道など、社会に欠かせないインフラ整備を担う部署で、技術部技術室は現場の円滑な運営のための支援を行っています。さまざまな支援のなかでも特に力を入れているのがICTの推進で、タブレット端末や各種アプリの利活用をサポートしています。いかにしてICTツールの浸透を図っているのか、技術部技術室室長の近藤令子氏、課長の保坂征司氏、毛呂礼子氏にお話を伺いました。
プロフィール

近藤 令子氏
大成建設株式会社
東京支店
土木部 技術部 技術室 室長

保坂 征司氏
大成建設株式会社
東京支店
土木部 技術部 技術室 課長

毛呂 礼子氏
大成建設株式会社
東京支店
土木部 技術部 技術室
※2023年7月1日以前に掲載されている事例は、「株式会社オープンアップITエンジニア」への社名変更前の「株式会社夢テクノロジー」の顧客事例であり、記事上該当社名が記載されています。
慌ただしい現場だからこそ
ICTの利便性を実感してほしい
――現場へのICT導入を支援することになった背景を教えてください。
保坂氏(以下、敬称略): 建設会社の仕事には大きく分けて建築分野と土木分野があり、私たちの部署では社会インフラ整備を担う土木分野の現場のサポートをしています。土木の現場と言うと、昔ながらの過酷なイメージがあるかもしれませんが、業界を挙げて改革に取り組んでおり、現在は女性を含め、多様な人々が安心して働ける場に変わってきております。
また、多数のステークホルダーが関与する現場のマネジメントは本当に大変です。建設現場は労働集約型の生産体系で、他の製造業と比較して「非効率な生産体制」と評されることも少なくありません。そんな現場の業務負担軽減、生産性の向上、残業時間の短縮のため、当社はICTの利活用を推進しています。
――具体的にはどういった業務がICT化の対象になっているのでしょうか。
毛呂氏(以下、敬称略): 5年ほど前から推進しているのが帳票類のデジタル化です。現場には作業内容等を記録する帳票書式が複数あり、これまでは、現場で野帳に情報を記入後、事務所へ戻り、PCに現場の情報を入力していました。現在は、会社貸与タブレット端末上の帳票アプリを活用し、現場情報を直接入力することで、事務所で入力する手間が解消され、業務効率の向上につながるようになりました。
また、コンクリートの品質管理にもICTを活用しています。クラウド利用し、コンクリートの打設時間の見える化を図るため「it-Concrete」システムを推進しています。「it-Concrete」の利用により、リアルタイムでフレッシュコンクリートの「出荷」から「コンクリートの打込完了」までの状況確認が可能となるため、コンクリート打設工事の品質向上に繋がっています。

分かりやすく伝えられる
コミュニケーション力を重視
――帳票類のアプリ化にタブレット端末の貸与と、作業環境はすでに生産性向上が高まっていると思えます。
毛呂: 作業環境は徐々に改善方向に向かっていますが、新しいツールを提供するだけでは、なかなか利活用が進みません。ICTに対しては多くの現場職員は、「難しそう」「面倒くさそう」「覚える時間がもったいない」と感じております。操作や、ICTツールを活用した施工管理に失敗すると、管理もやり直しになる場合もあるため、未知のツールに手を出したくないという心理が働くようです。
そこで、私たちICTチームは現場に出向き、操作方法や活用方法などを直接伝える活動を行っています。もちろん操作マニュアルなども用意していますが、現場で一緒に操作してみることで「意外と簡単」だと感じてもらうことで、ICT導入に対するマイナスイメージを払拭するように対応しております。
保坂: まずは当社社員に現場でのICTツール活用を働きかけていますが、現場全体のICTを普及させていきたいので、協力会社の社員の方々への活用も働きかけています。ただ、現場によっては人数も多く、大きなプロジェクトだと工期も長いため、私たち社員のみでは対応が間に合わないこともあります。そこで、ICTの普及推進を担える人材を、夢テクノロジーさんに紹介して頂きました。
――人材紹介を依頼するにあたって、こだわった点はありますか。
保坂: 現場社員は必ずしもICTに詳しくないため、誰に対しても分かりやすく説明ができること、コミュニケーション能力が高いことが条件でした。また、作業所業務では、専門工事業者との関与もあり、協調性や共感力が求められます。作業所に関わる人たちの声を傾聴し、自らの仕事に反映できる人材を求めておりました。
実はグループ会社の夢真さんとは以前からお取引があり、今回はICTの教育ができる人材を探している旨をお伝えしたところ、夢テクノロジーさんを推薦して頂きました。
毛呂: 夢テクノロジ―さんに、我々が求める人材を相談し、島立さんを派遣して頂きました。島立さんは、IT業界の経験はないですが、ICTへの関心が高く、コミュニケーション能力も十分で物腰が柔らかいところも良かったため、適材でした。仕事ぶりを見ていると、多少たどたどしいところや、建設業界ならではの専門用語に戸惑う場面もありますが、これから経験を積む中で解決していけると思っています。
――具体的な業務内容を教えてください。
毛呂: 先述のコンクリートの品質管理システム(it-Concrete)と帳票アプリ、そして工事写真管理アプリの導入支援です。工事では、契約履行を確認するため、工事期間に撮影した現場の写真データを発注者へ納品する事が義務付けられる場合もあります。工事規模によっては、写真の枚数は膨大になるため、工事写真の整理、工事完了時に提出する工事アルバムの作成は、手間や時間がかかります。工事管理アプリを現場へ導入することで、普段の写真整理や、工事アルバムの作成手間が大幅に改善する事が可能となります。また、繁忙度の高い現場職員は、工事写真アプリを自分のPCにインストールする事や、分厚い操作マニュアルを確認することに煩わしさを感じております。我々は、煩わしさを解消するため、作業所へ直接来訪し、工事写真管理アプリの操作説明、PC内の工事写真管理アプリを直接インストールするお手伝いも行い、アプリの導入障壁を下げる支援を行っています。
近藤氏(以下、敬称略): 島立さんは毛呂の指導を素直に受け止め、頑張っておられます。建設業界の経験がないと工事の説明を聞いただけではピンとこない部分もあると思いますが、実際に現場を見ることで理解できた部分もあるようです。

ICT導入を加速するために
専門知識と技術を有する人材が必要
――いま建設業界ではICT導入やDXが大きなトレンドになっていると伺いました。ICTチームはこれからさらに忙しくなりそうですね。
保坂: はい、その通りです。当社がいま注力しているのが、3次元モデル等を活用して現場の品質確保・向上とともに生産性向上を図る「BIM/CIM(Building / Construction Information Modeling,Management)」です。BIM/CIMは計画初期の段階から3次元モデルを導入することで、その後の工程でも3次元モデルを使って関係者間で情報を共有でき、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図るというものです。
国土交通省は主に土木分野でのBIM/CIM導入推進を強めていますから、設計図から最終納品物に至るまで、業界全体の業務が平面(2次元)から3次元へと移行していくことになるでしょう。そうなると社内システムをすべて3次元データ対応に変えなければなりませんし、従業員向けのマニュアルや教育プログラムなども必要になると思います。具体的な内容はまだまだこれからですが、当部署が提案しながら一緒に進めていくことになるので、そのために必要なスキルやリテラシーを持つ人材を求めています。
近藤: 現場の立ち合い検査も、国土交通省の旗振りで変わっていきます。これまでは現場へ実際に出向きましたが、ウェアラブルカメラやネットワークカメラなどを活用することで現場に行かずに検査する遠隔臨場のトライアルも始まりました。今後はほとんどのプロジェクトで採用されますから、当社としても対応を急がなければなりません。
ただ、土木のプロジェクトは山岳トンネルや橋梁など、現場に電気が通っていないことは珍しくなく、むしろそういった不便な場所ほど遠隔臨場のニーズがあります。電気と通信の環境整備はどうしたらいいのか、どのようなツールを用意すれば良いのかなど、具体的なオペレーションを考えなければなりません。加えて、現場の人員はICTツールや機器の扱いに慣れていませんから、支援体制も整える必要があります。
保坂: 高度なITスキルを有したエンジニアも必要ですし、島立さんのように新しいツールの利活用方法を現場に伝える人員も必要です。いずれにしても建設業界全体でITのスキルやリテラシーを持つ人材がますます必要になるのは間違いないと思います。夢テクノロジーさんには今後も優秀なIT人材のご紹介を期待しています。
――ありがとうございました。
大成建設株式会社で活躍中のITエンジニア人材

男性
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②通常研修クリア済み、高度研修候補
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